1996 Fiscal Year Annual Research Report
色素細胞内メラノソーム運動のピコニュートン、ナノメータ測定
Project/Area Number |
08874120
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土屋 てい三 神戸大学, 理学部, 教授 (30091036)
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Keywords | 色素細胞 / 色素顆粒 / 筋収縮 / エネルギー変換 / cyclicAMP |
Research Abstract |
筆者は長年にわたり筋収縮における張力発生機構、短縮機構を研究してきたが、最近の研究成果にもとずく筋肉系、非筋肉系運動機構の素過程は統一して考えるべきとの立場から非筋肉運動系の一つである色素細胞メラノソーム(黒色素顆粒)運動の研究を始めた。最近の筋収縮研究ではアクチン、ミオシンをスライドグラス上で再構成させたいわゆる再構成運動系が用いられるが、色素細胞は偏平な細胞の内部を運動タンパク質を含んだメラノソームが移動し、いわば自然が作り出した再構成運動系ともいうべき運動系であり、分子運動研究に非常に適している。 筆者は本年をまず準備段階と位置付け、さまざまな実験材料を観察し、メラノソーム運動の基本的性質を調べた。最もよく使われている実験材料である魚鱗上の黒色素細胞を用い、サポニン系の物質、バクテリア産生毒素などを用い細胞膜を部分的に溶解するか、細胞膜に微小な分子レベルの穴を開け実験液が容易に細胞内に透過する細胞(膜破壊細胞)を作り出した。顆粒の運動はビデオにより撮影録画し、再生に際しその動きを解析した。intactな細胞では顆粒の凝集はアドレナリン、ノルアドレナリン、メラトニンなどの神経分泌物質で起こり、拡散は生理塩類溶液、アデノシンで起こるが、それとほぼ同様の運動を膜破壊細胞でも再現する事ができた。すなわち凝集はATP,微量Caイオンによりおこり、拡散はATP,cyclicAMPにより起こる事を示した。また凝集速度は2.0-2.5μm/s,拡散速度は1.5-2.0μm/sであり異なる事も示した。今後はこれらの基礎的データをもとに顆粒運動におけるエネルギー変換機構解明をめざしたい。
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[Publications] Edman & Tsuchiya: "Strain of passive elements during force enhancement by stretch in frog muscle fibre." J.Physiology (London). 490:1. 191-205 (1996)
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[Publications] Ishii,Tsuchiya,Sugi: "An in vitro motility assay system retaining the steady-state forcr-velocity characteristic of muscle fibers under postitive and negative loads" Bioch.Bioph.Acta. (in press). (1997)
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[Publications] Sugi & Tsuchiya: "Current methods in muscle physiology : advandages,ploblems and limitations" Elsevier (in press), (1997)