1996 Fiscal Year Annual Research Report
可逆的に作動する原子構造の組み替えを利用したナノスケール非分離運動機構発現の検討
Project/Area Number |
08875023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 浩 大阪大学, 工学部, 教授 (30029095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾方 成信 大阪大学, 工学部, 助手 (20273584)
中谷 彰宏 大阪大学, 工学部, 助教授 (50252606)
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Keywords | ナノメカニズム / 非分離相対運動 / 転位運動 / べん毛モータ / 軸-軸受け / 超潤滑 |
Research Abstract |
原子レベルの構造欠陥を運動させることによって、構造的に一体のままで原子集団を相対運動させるナノスケールの機構の発現の可能性を分子動力学シミュレーションによって追求して、つぎの成果を得た。 (1)パーソナルコンピュータにより構成される並列計算システムにより、大規模な分子動力学法シミュレーションをインタラクティブに実行できる環境を構築した。 (2)単結晶中の転位に関して、無負荷時のゆらぎ特性、応力を負荷した下での運動特性を分子動力学法で評価し、相対運動の素機構としての可能性に検討を加えた。 (3)幾何学的な形状をべん毛モータの軸受けの役割を果しているL-Pリング部に倣った、仮想的な原子(分子)により構成される軸-軸受けの2次元モデル(モデルの構成:軸、軸受けを構成する分子は線形バネで、軸-軸受け間はLenard-Jonesポテンシャルで表現される相互作用、分子の質量とバネ定数はべん毛モータのL-Pリング部の原子(分子)構造を参照して評価、軸と軸受けの周方向分子総数の差により欠陥構造(転位)を作成し、その静的構造安定性、動的特性を調べてつぎのような知見を得た。 ・軸-軸受け間相互作用が強くなると、ミスフィット部(転位部)にポテンシャルエネルギーが集中し周方向せん断応力の傾きが急峻となる。 ・軸に回転初速度を与えると、ミスフィット部が逆方向に回転運動し、それに伴って生じる局所的分子構造組み替えにより軸-軸受け間に相対運動を発生する。その際、エネルギーの散逸はほとんど生じない、超潤滑的状態が出現する。
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[Publications] 中谷彰宏,北川浩,中谷敬子: "分子動力学法による転位運動特性の評価-モードII型き裂先端から発生する転位の運動" 材料. (掲載予定). (1997)
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[Publications] 中谷彰宏,北川浩,中谷敬子: "分子動力学法による転位運動特性の評価-離散転位動力学のためのせん断応力と運動速度の関係式導出-" 材料. (掲載予定). (1997)