1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875026
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
長谷部 忠司 同志社大学, 工学部, 専任講師 (20237994)
|
Keywords | 場の理論 / ゲージ場 / 転位論 / 結晶塑性理論 / マイクロメカニクス / 一般化連続体力学 / 場の量子論 |
Research Abstract |
本年度は,とくに場の理論(量子論)的アプローチを新たに導入することにより現象を自ら駆動し得る理論体系への拡張を図った.パターン形成を含む転位過程を巨視的数の転位集団が示す協同現象.すなわち一種の相転移と捉え,その合理的記述に「場」の概念と理論的手法を用いた.まず転位を秩序場の素励起と捉え,現象論であるGinzburg-Landau理論に基づき,支配方程式(Ginzburg-Landau方程式)を導出し,これが反応-拡散方程式と一致することを示した.また,同方程式は,結晶体内で転位群を含む系の第二量子化されたハミルトニアンが与えられれば,原理的に厳密に導出できることをGor'kovの方法に基づき指摘した.さらに,転位は結晶空間というそれ自身トポロジカルな背景にあるトポロジカルな欠陥であり,したがって,転位を背景と独立した自由粒子的に取り扱うことはできない.すなわち,背景場との相互作用を考慮する必要がある.そのための二通りの方法.すなわち(1)ゲージ場を導入する.および(2)微分幾何学的制約条件を課す,を提案した.両者は数学的に等価であり.とくに(1)のゲージ場を導入することにより,ゲージ変換に伴う理論(作用積分)の不変性の要請から接続係数,さらにはねじれや曲率が自然に導入され,非リーマン塑性論における欠陥場との対応関係が得られることを示した.最後に,より複雑な転位挙動,すなわち転位tangleによる3次元セル構造形成等に対しては,新たなゲージ場の導入が必要であることを指摘した.一例としてChern-Simonsゲージ場を導入した場合について検討を加えた.すなわち,同ゲージ汎関数を経路積分で表した形式は2特異線間の相関関数を意味するが,これはGaussの絡み数と呼ばれる位相不変量を与えることが知られている.上記特異線を転位線とみなすと,このことは転位間のentlanglement挙動が,そのミクロな詳細に依存しない大域的な位相不変量で記述できる可能性を示唆している.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 長谷部忠司: "結晶塑性理論と場の理論としての非リーマン塑性論" 同志社大学工学会報. Vol.39. 25-46 (1997)
-
[Publications] 長谷部忠司,今井田 豊: "非リーマン塑性論とその応用に関する研究-第1報:基礎概念および硬化・損傷発展の評価-" 平成9年度塑性加工春季講演会講演論文集(日本塑性加工学会). 115-116 (1997)
-
[Publications] 長谷部忠司,今井田 豊: "非リーマン塑性論とその応用に関する研究-第2報:高次空間への拡張と相互作用場の導入-" 第48回塑性加工連合講演会講演論文集(日本塑性加工学会). 51-52 (1997)
-
[Publications] 長谷部忠司,今井田 豊: "非リーマン塑性論とその応用に関する研究-第3報:場の量子論的方法によるアプローチ-" 平成10年度塑性加工春季講演会講演論文集(日本塑性加工学会). (発表予定). (1998)
-
[Publications] T.Hasebe, Y.Imaida: "Micromechanics based on the Non-Riemannian Plasticity" Proc.SES'98. (発表予定). (1998)
-
[Publications] T.Hasebe, Y.Imaida: "Construction of Quantum Firld Theory of Dislocations based on the Non-Riemannian Plasticity" 3rd Japan-Sino Bilateral Symp.on High Temperature Strength of Maters.(発表予定). (1998)