1996 Fiscal Year Annual Research Report
剛体および粘弾性壁に作用する流体摩擦力と血行力学的影響
Project/Area Number |
08875039
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 隆平 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (90103936)
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Keywords | 流体工学 / 壁せん断応力 / 粘弾性 / 分岐管 / 拍動流 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
動脈硬化が流れの急変する大動脈弓や脳・腹動脈分岐に好発するため,血管病変発生に対する流体力学的因子による血管壁への影響が研究されている.従来,二次元的な剛体分岐内の流れ学から,流れの剥離する部位では流体摩擦力が小さく,血管病変発生は対流依存物質伝達の低下に伴う血管壁細胞の退化とされている.血流は極めて変形しやすい粘弾性管を通ることから,血流が血管壁に作用する影響を調査するには,境界壁が変形しない剛体管内流れと同時に,変形する弾性境界壁に作用する流体摩擦力分布の解明が求められている.本研究では,血管を模した三次元直角分岐流の剛体および粘弾性流路における流動形態および流体と境界壁の界面に作用する流体摩擦力分布を血行力学的に検討する. (1)腎動脈を模した直角T字型分岐の剛体管モデルを取り上げ,酸化還元系の電解液を用いた電気化学的手法により剛体壁上のせん断応力を測定し,壁せん断応力の定性的な分布を把握した. (2)前項と同一剛体管モデルを取り上げ,主管から枝管入り口コーナ周りの速度分布をLDV流速計を用い測定し,流れの偏向および逆流域の発生を検討した.壁から1mmの領域にある速度分布から壁せん断応力を算出した.その結果,枝管入り口の上流コーナ周りでは壁せん断応力が急激に変化すること,および上流コーナにおける壁せん断応力の最大値は流れ分割点である下流コーナの大きさに匹敵することが示された.さらに,電気化学的方法での結果と比較検討した. (3)上記の分岐流路に対応する弾性管モデル作成のため,剛体管モデルにパラフィンを注入し,パラフィン硬化後にデイッピング法によりシリコンラバーを塗布する.シリコンラバー硬化後,パラフィンを溶解し粘弾性管の作成法を検討した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 増井秀行: "直角分岐枝管の入り口コーナ周りの剥離流れ" 日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集. 96-9. 207-208 (1995)
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[Publications] 山口隆平: "対称Y型分岐を通る振動流の非対称性と二次流れ" 日本機械学会論文集(B編). 62. 3250-3256 (1996)
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[Publications] 山口隆平: "前交通動脈の流れ分割点回りの流れと壁せん断応力" 日本機械学会第74期全国大会講演会講演論文集. 96-15. 111-112 (1996)
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[Publications] 山口隆平: "直角分岐管の分岐点回りの壁せん断応力と枝管流れの変動" 日本機械学会論文集(B編). 63. 123-130 (1997)