1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875046
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
伊藤 昭彦 大分大学, 工学部, 助教授 (30127972)
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Keywords | 混相流 / 気泡流 / 微小重力 / 温度こう配 / マランゴニ力 / 表面張力 / 浮力 |
Research Abstract |
液体中の気泡の運動は,地上の重力場では浮力が支配的因子であるが、液体に温度こう配があると気泡の表面張力差すなわちマランゴニ力が働く。とりわけ宇宙環境下での微小重力場では浮力の影響がなくなるため、マランゴニ力が支配因子となる。温度こう配のある液体中の気泡の運動を解明するために、 1. 単一気泡が温度こう配のある高粘性液体中を上昇する際の気泡の運動を明確にする。 2. 複数個の気泡が存在する場合の互いの気泡間の干渉を明確にする。 の2項を目的として研究を行った。 本年度は上記1.について温度こう配および液体の粘性係数と気泡の運動の関係を実験と理論の両面から調査した。 まず、矩形断面をもつ気泡の運動が観察可能な温度制御付実験装置を製作し、作動流体とした高粘度シリコーンオイルに水平方向に一定の温度こう配をつけ、下方より供給した空気泡の運動を調べた。次いで温度こう配と気泡径および液体の粘性係数を色々と変化させて同様の実験を行った。さらに、気泡に働くマランゴニ力を考慮した気泡の運動を理論解析した。以上の結果、以下の知見を得た。 (1) 気泡は上昇しながら正の温度こう配の方向、すなわち冷却面側から加熱面側に向かってドリフト運動をする。 (2) 気泡のドリフト速度は温度こう配に比例し、気泡直径の2乗に比例する。 (3) 気泡のドリフト速度は液体の粘性係数に依存しない。 (4) 変形を伴わない小気泡(直径3mm以下)のドリフト運動はマランゴニ力によって支配される。 以上のことより、温度こう配のある液体中の気泡の運動に果たすマランゴニ力が明らかにとなり本年度の目的を達成したが、今後気泡周りの熱と流れ場との関係を明らかにし、複数個の気泡が存在する場合の気泡間の干渉について検討していく。
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