1997 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロエンジニアリングのための量子システム理論の研究
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08875049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 英紀 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10029514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 泰章 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80272392)
五神 真 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70161809)
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Keywords | 量子力学系の制御 / 量子光学 / 経路積分 / 測定 / Gaussian state / 巨視的物理量 / 最適レギュレータ / 開放系 |
Research Abstract |
前年度は,量子力学系のシステム理論を考える場合に鍵となると思われる量子被破壊測定について研究を行なった.今年度はこれを踏まえて具体的なシステム理論の構築を試み,測定と制御の二つの問題においてそれぞれ重要な結果を得ることができた. 通常のSchrodinger方程式は閉じた量子力学系の時間発展を記述する.しかし制御など何らかの操作を行なうには制御対象である量子力学系に他の系を相互作用させなければならない.したがって,量子力学系を開放系として扱った場合にどのように時間発展していくかを調べる必要がある.今年度における一番目の主要な結果は,このような系の時間発展を経路積分の形式を使うことで記述できたということである.上記の記述を微分方程式に書き直したものは,測定器との相互作用を表現する「非選択的測定」のダイナミクスと,測定を行なって測定の結果を見たことに影響されるダイナミクスの二つに分かれるという興味深い構造をしている. 次に上記の結果をGaussian stateという量子光学で重要な量子状態に適用して,この状態の制御について考察した.ここでは上で導いた時間発展の記述をもとに,巨視的な物理量のみが測定または制御できるとして制御の問題を定式化した.Gaussian stateのダイナミクスを巨視的な量を用いて記述すると,従来の制御理論における状態方程式に類似の表現が得られる.さらに巨視的な量である分散を最小化する制御則を求める問題は最適レギュレータ問題と似たものになる.ただし最小化している分散というものが,古典力学系の最適レギュレータ問題のように入力信号の確率的性質に起因するのではなく,系の持つ量子力学的性質に起因しているという点は,量子力学系固有の性質であり興味深い. 以上のように理論的には大きな成果が得られたが,導いた制御則の物理的実現可能性,具体的な応用例など,工学的にはまだまだ考察すべき点が多く,さらなる研究が必要である.そのために,平成10年度科学研究費補助金萌芽的研究に「マイクロエンジニアリングのための量子制御の基礎的研究」なる題目で申請中である.
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Research Products
(1 results)