1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 勝敏 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10026049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 亮輔 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80179275)
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Keywords | 熱電発電 / 低温熱源 / 鉄鋼交換材料 / 鉄-アルミニウム合金 / ゼ-ベック効果 |
Research Abstract |
発電に供することのできる未利用の低温熱源として,(1)火力・原子力発電の蒸気タービン排出水蒸気,(2)恒久かつ無償の蓄熱水型太陽熱,(3)高温岩体地下熱などがあり,ぼう大なこれら低温熱源から高い変換効率で電力生産が可能ならば電力問題はほぼ恒久的に解決し,さらに水の電気分解による水素の製造は水素エネルギー時代の実現を可能とする。温度200℃以下を主体に400℃以下の従ってエネルギー密度の小さな低温熱源にたいしては,駆動部の無い完全放置型の直接エネルギー変換方式である熱電発電が唯一可能な方法である。巨大低温熱源発電を図るために前提となる要件は(1)極めて高い電力回収率のためのプロセス開発,(2)超量産性のある変換材料の開発である。本研究では前者にたいしては,循環空気多段熱交換式熱電発電システムの概念を構築し,後者にたいしては鉄基熱電変換素子を開発し得た。本発電システムの最大の特徴は温度差で作動する熱電交換において、高温側は一次熱源から完全熱交換した熱空気であり,低温側は気象そのものの大気を用いることにある。 次に寒下の温度も含む大気温度と低温熱源温度との温度差で作動する熱電材料として,導電性に優れ,資源が豊富で安価,加工性に富む次の素子を開発した。Fe-Fe・12%Al出力38μV/℃,Fe・12%Al・Fe-Fe・24%Al出力57μV/℃,Fe・12%Al-Fe13%Al・12%Si出力70μV/℃。これらの素子の性能は現在知られている半導体熱電変換素子と比較して劣るものの,金属系熱電変換素子としては高価なニッケルを高濃度で含有するクロメル-アルメル(90Ni10Cr-60Cu40Ni)の61μV/℃と比較してより優れている。また合金成分についてもアルミニウム,シリコンなどへ常用金属のみを用いるため経済性に優れている。本研究の成果は論文として「鉄と鋼」に発表した。
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Research Products
(1 results)