1996 Fiscal Year Annual Research Report
言語的知識ベースに基づく局地的な長期気象予測の可能性に関する研究
Project/Area Number |
08875079
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
西田 眞 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (70091816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 千佳子 秋田大学, 鉱山学部, 教務職員 (00282161)
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Keywords | 長期気象予測 / 知識ベース / ヒアリング / 気象変動 / 寒だめし / 3ヶ月予報 / 的中率 / 数値評価 |
Research Abstract |
本年度は"寒だめし"と称される長期気象予測法に着目し,言語的に表現された予測結果と実際の気象状況との対応について気温に焦点を絞り検証を加えた。本年度の成果の要点は次のようになる。 1.エキスパートにヒアリングを試みた結果、寒だめし予測は寒中の気象状況に基づいて年間の気象変動の予測を行っており、寒暖の変動をベースに予測しているなどの知見が得られた。 2.ヒアリング結果と言語の意味に基づき、寒だめし予測に示される気温に関する言語的な表現を、"高い"・"やや高い"・"平年並み"・"やや低い"・"低い"の5階級に分類し、数値化を行う手法を開発した。 昭和63年、平成5年〜平成7年の4年分について、年間を通じた寒だめし予測結果と実データとの的中率を従来のスコア法を用いて検証した。その結果、寒だめしによる予測精度の4年間の平均は約56%となり、気象庁の3ヶ月予報の予測精度平均値約40%を上回っていることが認められた。 4.スコア法はステップ的な評価法であるため、実データのわずかな変動が的中率に著しく影響する。そこで、連続的変化に配慮した台形スコア法を考案し的中率を求めた結果、寒だめしでは約70%、3ヶ月予報では約52%の平均予測精度であることを明らかにした。いずれの評価法を用いた場合においても、気象庁の3ヶ月予報に比較し、寒だめしにおける予測精度は15〜20%程度優れていることが認められた。 5.さらに、低温傾向や高温傾向が持続する特定期間についても、寒だめしによる予測結果は3ヶ月予報と同等レベル以上の精度を有していることを明らかにした。 以上、言語的に表現された予測結果の数値的評価法の開発は概ね達成し、寒だめしの気温変動予測の有効性についても確認した。
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