1996 Fiscal Year Annual Research Report
河内地域における路傍祠調査ならびにそのデータベース化に関する研究
Project/Area Number |
08875112
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
谷口 興紀 大阪産業大学, 工学部, 教授 (00026113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 ひとみ 大阪産業大学, 工学部, 助手 (90257890)
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Keywords | 路傍祠 / 北河内 / 地蔵 / 提灯 / 注連縄 |
Research Abstract |
建築や都市などの生活環境の構成は、もっぱら生活の役に立つという機能的観点から考えられ研究されてきたが、生活環境を改めて見回すと、今まで、身近にありながら見過ごしてきたものとして地蔵、小祠や地神石がある。本研究は、生活環境要素の一つであり地域住民が日常生活の中で守り、好ましいもの(地域の住民を守るもの)として位置づけ機能している路傍祠類の分布状況の特性をとらえ、その面から地域生活とそれを取りまく都市空間の実態を明らかにしていく。 調査方法は国土地理院1/2500の地図記載の記号によって表示されている路傍祠類を、その全数ついて位置、種類、場所的特性、姿・形、管理状況などの実体的データを収集しつつある。 地域との関わりについてみると、管理は町内会が当番制で行っているのが普通であるので、そうすることは住民の地域・町内への帰属性を高めており、地蔵盆の例からも、路傍祠はコミュニティの働きを担っており、社会性をもっているといえよう。 神社仏閣のような建築物に比べ、路傍祠はスケールにおいて小さいが、その数は多い。管理状況も千差万別であり、単なる石塊として置かれているようなものから、信仰の対象として生きているという状況を呈するものまである。それらは、過去の遺物として道端にほって置かれてあるのではなく、新しい前かけを掛けられ、水が供えられ、花が飾られ、また地蔵盆の提灯が点灯され、秋になると注連縄が新しくなる。日常生活の装置として、一見、無くても済ますことができる路傍祠のようなものが、なぜ継続的に存続し続けるのかについて探り、路傍祠の現代的意義を追及していくべく、調査と分析を進めていく。
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