1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875127
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隅山 兼治 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70101243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 豊彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90260447)
鈴木 謙爾 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005861)
|
Keywords | 強磁性体 / 酸化物 / 薄膜 / 電気抵抗 / 光物性 / 機能材料 |
Research Abstract |
気相合成法により作製したユーロピウム酸化物、EuO、の電気抵抗の測定を試みた。実際の測定に先立ち数100度の基板温度でEuOと化学的に反応を起こさずかつオーミックなコンタクトを有する電極金属を選択するための予備実験を行った。金、銀、クロミウムをあらかじめ種々の方法でパタ-ニングしたガラス上のEuOを蒸着しその電気抵抗を測定した結果、金や銀ではEuOとの反応が進行し不適当であることがわかった。施行錯誤の結果、スパッタ法で蒸着したクロミウムが最もコンタクト材料として優れていることが判明し、以後の実験に用いることとした。電気抵抗の測定も半導体から金属域まで広い抵抗範囲で行わなくてはならないが、これは本予算で購入したソースメジャーユニットを用いることにより解決した。 電気抵抗の測定は5-150Kの温度範囲で四端子法により行った。無磁場中での電気抵抗は温度の上昇とともに徐々に増加し、特に70-80Kの領域において約一桁の抵抗変化が見られた。同時に電流-電圧(I-V)曲線も半導体的なものへと変わり、この温度域で金属-半導体転移が起こっていることが判明した。一方、5Tの外部磁場中では上記の温度以上で半導体的なI-V特性を示すものの電気抵抗の絶対値は40-150Kの範囲で0.5-1桁小さく、外部磁場による強磁性秩序の出現にともなって金属相がより安定化することが示唆された。 一方、Euと非固溶系をなす遷移金属元素をEuに強制固溶した非平衡薄膜を作製し、Euの本来有するらせん秩序がどのように乱され、それが磁気的・輸送的性質にどのように反映されるかを調べた。遷移金属元素としてはFe,CoそしてMoを用いた。特にMoを用いたのは固溶元素の有する磁気モーメントの影響をみたかったからである。その結果、いずれの場合も約8Tの外部磁場下で磁化曲線に小さなキンクが現われ、同時に磁気抵抗も正から負の値に大きく変動することが判明した。これらの結果は不純物の存在によってEuのらせん秩序が乱され、一部のスピンがフロップすることを示唆している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] N.Ogawa: "Magnetic and transport properties of non-equilibrium bcc Eu-Fe alloys" Physica B. 237-238. 289-291 (1997)
-
[Publications] T.J.Konno: "Magnetic and transport properties of nonequilibrium Eu-Fe thin films" J.Phys.Cond.Matt.(印刷中). (1998)
-
[Publications] T.J.Konno: "Anomalous magnetoresistance of nonequilibrium Eu-TM (Co,Mo) alloy thin films." J.Phys.Cond.Matt.(印刷中). (1998)