1996 Fiscal Year Annual Research Report
有機オングストローム構造体の創製を目的とするイオンクラスター構造の動力学的制御
Project/Area Number |
08875145
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺本 正明 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 慶発 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (30273551)
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Keywords | イオン交換膜 / パーコレーション / イオン輸送 / 示差走査熱分析 / スチレン-メタクリル酸共重合体 / ナフィオン / イオンクラスター |
Research Abstract |
オングスチロームオーダーで制御されたイオンクラスター構造体は,膜分離材料として期待されている.本研究では,以下の成果を得た. 1.イオン輸送のパーコレーション挙動を研究するため,スチレン/メタクリル酸(MAA)共重合体をモノマー比を広範囲に変化させて合成した.共重合体をキャストして製膜し,K^+とNa^+の透過実験を行った.イオンの透過速度はイオン性モノマーであるMAAのモル分率が閾値14%で不連続的に変化し,パーコレーション挙動を示すことを確認した.MAAの体積分率とパーコレーション閾値の差とイオン透過係数の間にはpower lawが成立し,臨界指数は1.7,パーコレーション閾値は0.165であった。これらの値は,膜内のイオン基がランダムに分散していることを示唆した.また,示唆走査熱分析の結果,本膜のイオン基はクラスターは構造をとっていないことが判明した. 2.パ-フルオロカーボン系のイオノマーであるナフィオンから,キャスト法により製膜してナフィオン膜を得た.この膜をグリセリン処理して膨潤させ,これにベンゼンのキャリヤ-として硝酸銀を含浸させてベンゼン/シクロヘキサン系の透過実験を行った.ナフィオン膜の膨潤度の増加とともにベンゼン透過係数は20倍増加したが,シクロヘキサンに対するベンゼンの選択性は膨潤度に無関係に約900とほぼ一定であった.これより,ナフィオン膜は膨潤してもイオンクラスター構造が保持され,イオンクラスター構造の“ゆるみ"がベンゼンの透過促進に有効であることが確認された.
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[Publications] Matsuyama,H.: "Percolation Permeability in Stylene-methacrylicacid ionomers" J.Membrane Science. 118,1&2. 177-184 (1996)
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[Publications] 寺本正明: "ナフィオン膜" 化学工学会秋季大会. (発表予定). (1997)