1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875148
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥原 敏夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (40133095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中戸 晃之 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (10237315)
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Keywords | 水中触媒 / 固体酸 / エステル加水分解 / ヘテロポリ化合物 / H-ZSM-5 |
Research Abstract |
水中で機能する固体酸触媒(Water Tolerant Catalyst)として、強酸性で疎水的な表面性質を有するヘテロポリ酸Cs酸性塩C_<S2.5>H_<0.5>PW_<12>O_<40>(C_S2.5)に着目し、過剰の水存在下でのエステルの加水分解反応を行った。酢酸エチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸2-メチルフェニル、酢酸2-ニトロフェニルの4種類のエステルの加水分解に対してC_S2.5は高活性を示した。C_S2.5の酸量当り活性は、他の無機固体酸のH-ZSM-5、SO_4^<2->/ZrO_2、Nb_2O_5などと比べて圧倒的に高かった。また工業触媒である有機樹脂アンバーリストー15やナフィオン-Hとの比較でも同等以上の活性であった。さらに液体酸のH_2SO_4やH_3PW_<12>O_<40>と比べてもC_<S2.5>は際立って高い活性を示した。反応物による活性の比較では、C_S2.5はかさ高い反応物に対しても高活性であったが、H-ZSM-5は小さな反応物に対してのみ活性を示した。このようなC_S2.5の水中における高い活性は繰り返し使用によってもあまり低下せず、繰り返し使用5回目でも1回目の活性の90%以上を維持していた。ただし、UV、IR測定より反応中に水相に少量のヘテロポリアニオンが溶出することが確認された。そこで、C_S2.5の水処理を行いその前後で窒素吸着等温線を測定したところ、水処理によって表面構造(細孔構造)が変化していた。またアンモニア吸着熱測定から、C_S2.5の水処理によって、酸強度はあまり変化しないが酸量の減少が見られることが分かった。これら細孔構造と酸量の変化がC_S2.5繰り返し使用に伴うわずかな活性低下の原因であると考えた。以上より、C_S2.5が水中で機能し得る固体酸であることを確認した。また触媒の一層の不溶化が今後の課題である。
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