1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875166
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 京都大学, 工学研究科, 助手 (30273486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山邊 時雄 京都大学, 工学研究科, 教授 (80025965)
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Keywords | ヤーン・テラー効果 / 超伝導 / 振電相互作用 / 縮退電子系 |
Research Abstract |
本研究では、電子状態に縮退あるいは擬縮退のある大環状炭素、縮合炭素、シルコン系クラスレートなどの分子性材料における電子状態と分子振動のカップリング機構を解明することを目指して、以下のような研究を行った。 (1)低次元電子系の巨視的な電子状態を解析するために重要と考えられる2次の摂動効果を解析し、グラファイトの層間相互作用に関する基本的な知見を得た。即ち、グラファイトには種々の積層構造が知られているが、中性のグラファイトではABAB型積層が一般的である。通常、グラファイトの積層構造にはvan der Waals力が支配的に働くとされているが、Baderの遷移力を解析することにより、ABAB型積層がフェルミ準位近傍の結晶軌道の対称性によって決定されていることを明らかにした。 (2)縮退電子系であるアヌレンの構造と電子状態を密度汎関数法を用いて解析し、ヤーン・テラー変形を引き起こす特定の振動モードに沿ってカップリング定数を見積もった。その結果、[18]アヌレンのアニオン状態では、D6hからD2hへの対称性の低下が起こるが、その断熱ポテンシャル面の解析よりこれらの分子系では動的ヤーン・テラー効果が起きる可能性のあることが判明した。 これらの結果をまとめた論文については、既に投稿済みであり、次年度に掲載予定である。
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Research Products
(1 results)