1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08875168
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山中 昭司 広島大学, 工学部, 教授 (90081314)
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Keywords | アニオン交換体 / 層状複塩基性塩 / 水酸化ニッケル / 水酸化亜鉛 / 低次元磁性体 |
Research Abstract |
[研究の目的] イオン交換は溶液からの物質の精製、濃縮、有害イオンの除去と捕獲に不可欠のプロセスであるだけではなく、材料開発にも幅広く利用される.しかし、これまでのイオン交換性結晶は、殆どがカチオン交換性であり、アニオン交換性を有する結晶は、殆ど知られていなかった.本研究では、最近、当研究者が新たに見出したNi-Zn層状複塩基性層状結晶を中心に、新規アニオン交換体を開発すると共に、これを出発物質とする機能性材料開発を行った. [研究成果の概要] 1. Niが4配位サイトを占めるNi-Zn層状複塩基性塩の合成 新たに得られたアニオン交換体は、Niがブルーサイト8面体層を形成し、その空孔の上下の4面体サイトにZnが位置し、Znに配位したアニオンが交換性を有する.この層状塩基性塩と同形の化合物に、(Zn_3)^<IV>(Zn_2)^<VI>(OH)_8X_2(Xは交換性アニオン)や(Co_3)^<IV>(Co_2)^<VI>(OH)_8X_2が合成されており、これらの化合物はイオン交換性を示さない。Co塩の存在から推定して、Niが4配位サイトを占める(Zn_3)^<IV>(Ni_2)^<VI>(OH)_8X_2や、(Ni_3)^<IV>(Ni_2)^<VI>(OH)_8X_2の合成も可能なように思われる。この層状結晶はイオン交換特性だけでなく、磁性や光学特性も興味が持たれたが、種々の条件で合成した結晶はすべて、(Ni_3)^<IV>(Zn_2)^<VI>(OH)_8X_2であり、目的の結晶は得られていない。 2.OH^-イオンとのアニオン交換 (Ni_3)^<IV>(Zn_2)^<VI>(OH)_8X_2をNaOH溶液中でアニオン交換し、(Ni_3)^<IV>(Zn_2)_<10>を合成した。この化合物の赤外吸収スペクトルは、3644cm^<-1>に層間に導入された水酸基の伸縮振動による極めてシャープで強い吸収を示し、層間のOH基は水素結合をしない自由な運動をしていることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)