1996 Fiscal Year Annual Research Report
1,3-ジシラシクロブタン類を用いた高分子設計におけるケイ素の特性の活用と解明
Project/Area Number |
08875185
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 俊夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026276)
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Keywords | 1,3-ジシラシクロブタン / 遷移金属触媒 / ロジウム触媒 / 共触媒 / 開環重合 / 含ケイ素ポリマー |
Research Abstract |
1,3-ジシラシクロブタンは適当な遷移金属触媒、特にパラジウム触媒により重合し,ポリ(シリレンメチレン)構造を有するポリマーを生成することが知られている。本研究では1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシシクロブタンのリビング重合や種々の置換基をもつ誘導体モノマーの高重合を誘起する遷移金属触媒を設計することを最終目標として実験を行った。以下に本研究の成果の要旨を述べる。 1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシラシクロブタンの重合におけるロジウム錯体、[(nbd)RhCl]_2の触媒活性を検討した。この錯体は適当な共触媒の存在下でフェニルアセチレンなどの置換アセチレンの重合を誘起することが知られている。フェニルアセチレンの重合では共触媒としてトリエチルアミンが有効であるが、最近我々はn-ブチルリチウム、ジエチル亜鉛などのアルキル化剤が共触媒としてより有効であることを見いだした。そこで1,3-ジシラシクロブタンの重合におけるそれらの共触媒の効果について検討した。共触媒を用いない場合、適当な重合条件下で収率80%で数平均分子量16万の無色で液体のポリマーが生成した。それに対し、トリエチルアミンを触媒量添加すると若干収率および分子量の低下がみられた。さらに、n-ブチルリチウムを用いた場合は重合挙動はあまり変化しなかったが、ジエチル亜鉛では触媒活性がむしろ低下した。これらの結果より、本錯体による1,3-ジシラシクロブタンの重合における開始反応はフェニルアセチレンに対する開始反応とは異なると考えられる。さらに重合溶媒その他の重合条件の影響を詳細に調べ、ロジウム触媒を用いたポリ(シリレンメチレン)の合成方法を確立した。
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