1996 Fiscal Year Annual Research Report
超材料「負のポアソン比もつ材料」への高分子化学からのアプローチ
Project/Area Number |
08875186
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高田 十志和 大阪府立大学, 工学部, 教授 (40179445)
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Keywords | 体積膨張 / アモルファス / 結晶化 / 負のポアソン比 / 重合反応 / DMA |
Research Abstract |
材料を引っ張って横に延ばすと縦方向に縮む。逆に、両横から押すと力と垂直方向に膨らむ。しかし、逆の挙動を示す材料、即ち横方向に引っ張ったのに縦方向に膨らむ、いわゆる「負のポアソン比を持つ材料」はこれまでに例がない。本研究は、この材料を実際に開発するための基礎を築くことを目的として行った。不可逆プロセスと可逆的なプロセスの両方について検討した。不可逆なプロセスでは、アクリル系の高分子材料中にミクロな空洞を持たせ、その内壁に重合開始剤(カチオン、アニオン)を封じ込めたマイクロカプセルを張り付け、空洞内を重合時に体積膨張又は体積収縮を示すモノマーで満たした系を想定した。その基礎となる膨張性モノマーの重合時の体積変化挙動を、モノマーとして環状炭酸エステル、カチオン触媒としてトリメチルシリルトリフラートを含む硝子チューブを用いて測定した結果、最初に熱膨張による体積膨張があった後、いったん収縮し、重合の進行とともにその後除々に所定の体積まで増加することがわかった。ついで、可逆的な系として、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)が、通常のポリマーと異なりアモルファスから安定な結晶層へ変化する際体積が膨張することを利用して、ポリマーの延伸による結晶化で膨張し、ついで加熱-急冷プロセスによるアモルファスへの変態という可逆的な系について検討した。各種スペクトル測定、GPC測定、熱分析等を行った結果、このポリマーのDMA(熱機械的特性分析)測定においてはα分散、β分散、及びγ分散が確認され、このポリマー材料の特性が明らかにされた。また、β分散の値から熱分析で明らかに出来なかったガラス転位温度が42°Cであることがわかった。この測定に用いたテストピースは280°Cでの加熱によるシート化の後急冷して得ているが、それでも熱分析の結果33%の結晶化度を有していることがわかった。
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[Publications] Keunwo Chung: "Synthesis of Polymethacrylates Having Spiro Ortho……" J. Network Polym. Jpn. 17・2. 63-68 (1996)
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[Publications] Takashi Suzuki: "A Novel Network Polymer←→Linear Polymer Reversible……" Macromolecules. 29・13. 4819-4819 (1996)
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[Publications] Toshikazu Takata: "First Example of Anionic Polymerization with Azo-Containing……" Maromolecules. 29・6. 2315-2317 (1996)
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[Publications] 西山宏治: "2、6-ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステルを用いた……" ネットワークポリマー. 17・1. 7-12 (1996)
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[Publications] Toshikazu Takata: "Polymeric Materials Encyclopedia" CRC Press, 9 (1996)