1998 Fiscal Year Annual Research Report
粘性の異なる破砕流体の使用による水圧破砕亀裂制御法の開発
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08875202
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 毅 山口大学, 地域共同研究開発センター, 助教授 (10232307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 義明 山口大学, 工学部, 教授 (20107733)
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Keywords | 水圧破砕 / AE(アコースティック・エミッション) / 破砕流体 / 亀裂制御 / 高温岩体発電 / 岩盤力学 |
Research Abstract |
一昨年度は,花崗岩供試体を用い,通常の水と粘性の高い油による水圧破砕実験を行い,粘性の小さい水の場合には亀裂幅の小さな微細な割れ目が網の目状に造成される傾向があるのに対し,粘性の大きな油の場合には厚さの大きい板状亀裂が造成される傾向のあることを明らかにした.昨年度は,この実験で得たAEのメカニズム解析を行い,粘性の小さい水を破砕流体に用いた場合にはせん断破壊が卓越するのに対し,粘性の大きな油の場合には引張破壊が卓越する傾向が顕著であることを明らかにした.このことは,粘性の異なる破砕流体を用いることにより,メカニズムの異なる破壊を引き起こすことが可能なことを示している. 本年度は,破砕亀裂の制御法の検討をさらに進めるため,水圧破砕において破砕流体そのものが亀裂の発生に与える影響を検討した.すなわち,ウレタン・チューブを用い,破砕流体を用いず水圧破砕と力学的に等価な加圧をボーリング孔内壁面に載荷して供試体を破砕し,その際のAEの発生位置とP波初動の押し引き分布に基づく破壊メカニズムの解析を行い,通常の水圧破砕の場合と比較した.その結果,ウレタン・チューブを用いた場合も破砕流体に水を用いた通常の水圧破砕の場合も,AEのメカニズム解からみるかぎり,個々の微小破壊はいずれもせん断型の破壊が卓越することがわかった.しかし,ウレタン・チューブを用いた場合には,亀裂が破砕孔周辺で徐々に逐次的に進展するのに対し,水圧破砕の場合には,亀裂が極めて短時間に急速に進展する傾向が顕著であった.これは,発生した亀裂に破砕流体が浸入して亀裂先端を押し広げるためと思われた.また,粒子直径の異なる花崗岩の水圧破砕実験も行い,岩盤の材質が水圧破砕のメカニズムに及ぼす影響の検討も行った.さらに,水圧破砕亀裂の性状を定量化する試みとして,AE震源分布のフラクタル次元を用いる検討も行い,論文にとりまとめた.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ishida,T.: "Effect of injected water on hydraulic fracturing deduced from acoustic emission monitoring" Pure and Applied Geophysics. 150. 627-646 (1997)
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[Publications] 陳渠: "花崗岩の粒径が水圧破砕の破壊機構に及ぼす影響について" 土木学会論文集. 589/III-42. 179-194 (1998)
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[Publications] 石田毅: "AE震源分布のフラクタル次元解析による高温岩体地域貯留層評価の試み" 土木学会論文集. 596/III-43. 49-63 (1998)
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[Publications] Ishida,T.: "Influence of fluid viscosity on the hydraulically induced crack geometry." Int.J.Rock Mech.Min.Sci. 35. 460-462 (1998)