1997 Fiscal Year Annual Research Report
メチレンブルー土壌法による根の活力と根系分布の同時・非破壊診断の試み
Project/Area Number |
08876004
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
萩原 素之 信州大学, 農学部, 助教授 (90172840)
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Keywords | 水稲 / 根系 / 画像解析 / 根の活力 / 酸化力 / 呼吸速度 |
Research Abstract |
本年度は水管理の違いが根系形成と根の活性に与える影響についての調査を中心に研究を実施した。本年度の研究概要は以下の通りである。 常時湛水区と中干し区を設け、ピンボード法により根系を採取し、土壌位置別の根系分布の生育に伴う変化を根新鮮重、根乾物重、一次根長により比較した。一次根長は根の画像を用いて、画像処理ソフトNIHImageと根長測定用マクロの組合せにより測定した。また、根の活性はトリテトラゾリウムクロライド(TTC)による染色反応試験を行ない、染色強度と染色範囲の大きさを組み合わせた指標により評価した。得られた結果の概要は以下の通りである。 根系の生長は中干し区で抑制されたが、出穂期から成熟期にかけての生育後期の根系生長は中干し区が上回った。中干し区では根乾物重、一次根長のいずれでみても根系分布が浅く、株元付近の縦方向に集中する傾向が認められた。一方、根系の活性は中干し区が高く推移した。一次根長増加率/乾物重増加率の比および根系の活性から判断すると、中干し区では2次根の生長が促されたものと推察された。 根の乾物率(根乾物重/根新鮮重)は両区とも生育に伴い増大するが、根の活性と高い負の相関を示すことが見いだされた。従来は根の活性の評価は今回用いたTTT染色反応を見る方法やαナフチルアミン酸化力の測定などのように根中の酵素活性を評価する方法が取られてきた。しかし、根の乾物率測定という極めて簡便な方法で根の活性の評価ができる可能性が示されたことは注目すべき新知見である。 なお、残念ながらメチレンブルー土壌法により、根の周囲のメチレンブルーによる染色程度によって根の活性を評価するという所期の目標については、生育途中(出穂期頃)からメチレンブルーの呈色反応が不明瞭となったため、記すべき結果を得られなかったが、次年度(最終年度)も引き続き検討する予定である。
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