1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08876011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 正孝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00270893)
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Keywords | 精巣 / 精原細胞 / 培養 / 鱗翅目昆虫 / 休眠 |
Research Abstract |
1.カイコの精巣および精巣から摘出した精原細胞塊の培養条件を検討したところ,精原細胞のみの継続的な培養は困難であることが確認された。 2.蛹で休眠する鱗翅目昆虫のサクサン,エビガラスズメガ,及びヨトウガを用いて休眠固体の精巣内の生殖細胞の状態を観察したところ,種によって生殖細胞の構成が異なっていることが判明し,したがって精巣の休眠状態は一定ではないことが明らかになった。また,休眠の初期・中期・及び後期のそれぞれにおける生殖細胞の分化と脱分化のバランスが異なることが示唆され、高温条件下でも起こりうる自発的な休眠状態と,休眠からは覚醒していながら低温条件によって抑制されている状態とでは,生殖細胞だけでなく昆虫の生理状態に違いがあることが推定された。 3.培養した生殖細胞,または培養した精巣から摘出した生殖細胞の,雄個体の精巣への移植を可能にするため、微量注射装置を用いて精巣から生殖細胞を摘出する方法及び生きた雄個体の精巣に注入する方法を検討したところ,生殖細胞の移植は可能であることが卵色の突然変異系統の利用により確認できた。しかし,実際に培養された生殖細胞の場合には,細胞を高密度で回収することが困難なことや,細胞の健康状態が不良になりやすいことなどから移植効率が低下し,特に培養期間が長くなるとともに移植成功率は減少した。これらのことから,精巣を長期間にわたって培養するための最適な条件をさらに検討することが必要となった。
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