1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08876011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾崎 正孝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00270893)
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Keywords | 精巣 / 休眠 / 培養 / 鱗翅目昆虫 |
Research Abstract |
1.蛹で休眠する鱗翅目昆虫であるサクサンを用いて,休眠中の個体の精巣の状態や精巣内の生殖細胞の構成などを調査したところ,休眠中の時期により,また休眠覚醒のための冷蔵の期間や温度の差などによって,かなりの違いが見られた。休眠中の精巣の培養を試みたところ,多くの条件において培養開始後精巣の外見が変化し,休眠状態を維持することが困難であることが示唆された。またカイコの精巣を休眠中のサクサンの蛹に移植したところ,カイコの精巣は退化する傾向を示し,精巣および生殖細胞を維持するしくみが種によって異なっているものと考えられた。 2.カイコの精巣を体外で培養し,精原細胞の継続的な分化を再現できるような培養条件を検討したところ,試みたかぎりにおいて一般的な方法では長期間の培養は困難であることが判明した。低温下における培養ではかなりの長期間を経ても精巣および生殖細胞に大きな変化は見られず,ほぼ休眠に近い状態で維持されているものと考えられた。 3.培養した精巣から摘出した生殖細胞を雄個体の精巣内に微量注射装置を用いて移植し,それらから受精能力をもった精子が形成されるか否かを卵色の突然変異系統を利用して検討したところ,培養期間が長くなるとともに移植成功率は低下し,また低温下の培養でも同様の結果であった。このため精巣および生殖細胞を長期にわたって培養するための最適な条件をさらに検討することが必要であると考えられた。
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