1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08876019
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
渡邉 啓一 佐賀大学, 農学部, 助教授 (40191754)
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Keywords | 南極 / 好冷細菌 / subtilisin / プロテアーゼ |
Research Abstract |
1.南極産好冷細菌 Alteromonas sp. AS11の生産するアルカリセリンプロテアーゼAPAの活性と構造に対する温度の影響APAの諸性質を調べた結果、APAはsubtilisin型のプロテアーゼであることが明らかになったので、APAの活性と構造に対する温度の影響を調べ、subtilisin BPN'(nagarse)と比較検討した。APAのカゼイン基質に対する至適温度は40℃で、nagarseより20℃低かった。10℃ではAPAの比活性はnagarseの4倍で、0℃では6倍であった。5〜15℃の範囲で、基質Suc-AAPF-pNAに対するAPAとnagarseのK_mに対する温度効果は小さかったが、K_<cat>は温度の上昇と共に増加した。5℃でAPA反応の活性化エンタルピーは7.3kJ/mol Nagarseより小さく、活性化エントロピーは25J/mol/k負の値が大きかった。また、61℃におけるAPAの熱変性の速度定数はnagarseの7倍大きく、その活性化自由エネルギーはnagarseより6 kJ/mol低かった。熱変性の活性化エンタルピーとエントロピーは、APAがnagarseよりそれぞれ56kJ/molおよび150J/mol/k低かった。これらの結果は、APAが低温環境に適応した構造と活性を有していることを示している。 2.APAのアミノ酸配列分析 APA遺伝子をクローニングするために、そのトリプシン分解ペプチドのアミノ酸配列分析を行った結果、約100残基のアミノ酸配列が明らかになった。現在、その配列をもとにPCRを行っている。 3.南極産好冷細菌AS131由来プロテアーゼ遺伝子のクローニングおよび塩基配列分析ショットガン法により、南極産好冷細菌AS11よりプロテアーゼ遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定した。この遺伝子はアミノ酸711個からなるsubtilisin型プロテアーゼ前駆体をコードしていた。そのアミノ酸配列を中温性の相同酵素と比較した結果、特徴的なアミノ酸の置換が認められた。
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