1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08876051
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
花田 章 信州大学, 繊維学部, 教授 (80273077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 建 信州大学, 繊維学部, 助教授 (20143993)
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Keywords | ウシ / 体外成長 / 胞状卵胞 / 前胞状卵胞 / 体外成熟 / 卵母細胞 / コラゲナーゼ |
Research Abstract |
現在ウシ卵巣から採取された未成熟卵子が体外操作に用いられているが、研究に供することが可能な卵子を数多く得るのは難しい。しかし卵巣内の潜在卵胞を単離、体外発育させることにより、十分な数の卵子を供給することが可能となる。そこで本実験では卵巣内に存在する卵胞を機械的分離法とコラゲナーゼによる酵素的分離法により採取することを試みた。まず、食肉処理上から供給を受けたウシ卵巣の表層を細切した。機械的分離として、その卵巣片をCa、Mg不含ハンクス液に15分間攪拌し後メッシュサイズ1mmの金網を通し、濾液をBSAを含むハンクス液及びWaymouth液で遠心洗浄して卵胞を採取した。酵素的分離は、機械的分離で網上に残った卵巣片を37℃コラゲナーゼ溶液(200、300、400U/ml)で攪拌し、15分毎に網を通して大きな卵巣片を除いた。そして濾液を遠心してその沈殿物を洗浄後、卵胞を採取した。その結果、機械的分離による前胞状卵胞の採取数は卵巣あたり7.0±4.4個であったが、酵素的分離(コラゲナーゼ濃度200、300、400U/ml)では、それぞれ7.2±1.8、34.7±18.3、71.7±26.1個と酵素濃度が高くなるにつれて多くなった。しかしその増加のほとんどが直径50μm以下の前胞状卵胞によるものであった。400U/mlのコラゲナーゼ溶液では直径50μm以下の前胞状卵胞が全体の83%を占めたが、200および300U/mlではそれぞれ全体の12および30%であった。また裸化卵母細胞の採取数も400U/mlでは200および300U/mlの場合と比べるとそれぞれ13および4.2倍に増加した。200および300U/mlのコラゲナーゼ溶液では酵素処理時間は卵胞採取数に影響しなかったが、400U/mlの場合には45分以後に増加した。しかしその増加分は裸化卵母細胞と直径50μm以下の前胞状卵胞によるものであった。以上の結果より、機械的分離と酵素的分離の併用により卵巣あたり100個を越える卵胞または卵母細胞を採取することが可能になった。今後はこれらを体外成熟培養に供することが可能なレベルまで発育させる培養システムを確立させることが急務である。
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