1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ肢芽形態形成におけるソニックヘッジホグ,レチノイン酸の機能
Project/Area Number |
08877002
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小椋 利彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (60273851)
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Keywords | 肢芽 / ソニックヘッジホグ / レチノイン酸 / 転写因子 / 形態形成 |
Research Abstract |
本研究によって、新規の遺伝子が4つ同定された。 一つはparied typeのホメオドメインをもつ転写因子で、ニワトリ肢芽の前方部に発現する。この遺伝子はその発現様式から肢芽後方からのレチノイン酸(RA)、ソニックヘッジホグ(Shh)のシグナルに拮抗することが予想される。これを証明するため、肢芽前方部にRA,Shhを作用させたところ、この遺伝子の発現が速やかに抑制されることが見出された。この遺伝子の機能を詳細に調べるため、レトロウイルスによる強制的な異所的発現を現在試みている。また、この遺伝子の突然変異がpreaxial polydactylyを引き起こすことが予想されるため、マウスを用いて遺伝学的な検索を行った。この結果、ある種の変異多指症マウスでホメオドメイン領域に重大な変異が見つかった。現在。この変異型遺伝子がニワトリで多指症を起こせるか検討中である。 もうひとつ遺伝子は、TBXであることが同定された。この遺伝子は肢芽の後方と前方に発現し、RAによる鏡型重複誘導によって変化することがわかった。これは、この遺伝子が肢芽の領域特異性に関わることを意味しており、機能的な解析を進めている。残り2つのTBX遺伝子は上肢芽、下肢芽特異的に発現することが見出された。したがって、これらの遺伝子が肢芽のwing/leg identityに関与することが示唆され、その機能的解析を進行中である。また、これに関する論文を1報発表した。
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