1997 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類フェロモン受容感覚系についての比較細胞学的研究
Project/Area Number |
08877003
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高見 茂 杏林大学, 保健学部, 講師 (30192628)
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Keywords | 鋤鼻器 / 副嗅球 / ヒト / ラット / 糖蛋白 / 樹状突起 / 胎児 / 鋤鼻上皮細胞 |
Research Abstract |
本年度設定した4つの実施計画について、以下の実績を得た。 1 鋤鼻器の開口部様構造について詳しく観察した。構造は径1〜3mmの黄白色の楕円形の凹みであり、血管の密度の高い周囲の粘膜と際立った対照をみせていた。この凹みをさらに詳しく観察すると、スリット様の隙間らしきものも観察された。 2 胎齢12週ヒト胎児の鼻腔領域の組織切片を観察した。その結果、鋤鼻器を鼻中隔底部の両側に有している事がわかった。鋤鼻上皮細胞は索状に重積し、樹状突起様の頂部突起を狭い管腔に向って伸ばしていた。粘膜固有層には明瞭な神経束がみられ、鋤鼻神経束である可能性が高い。これと対照的に嗅粘膜は未発達で、嗅細胞は多列上皮中に、上皮長200μmあたり、2〜3個の頻度で散在していた。これらの事は、この時期の胎児においては、鋤鼻上皮細胞の方が嗅細胞より機能的に重要だという事を示唆している。 3 成体ラット鋤鼻器より得られたα-galactoseを終末残基にもつ分子量230,000(230kD)、46kD、30kDおよび26kDの糖蛋白の性質を分析した。鋤鼻器を細析後、15,000rpm、4℃で遠心し沈殿した試料から、これらの分子が検出された。さらに、得られた上清を50,000rpm、4℃でで超遠心した沈殿物からも検出された。これらの事実は、これらの分子が、細胞膜成分かつ細胞内膜系成分である事を示している。 4 GAP43およびmicrotubule-associatedprotein2(MAP2)抗体とolfactory marker protein(OMP)抗体による二重ラベル免疫蛍光抗体法を用い、副嗅球を観察した。その結果、OMP免疫陽性を示す副嗅球糸球体内にMAP2免疫陽性を示す樹状突起が入っている事が分かった。そして、樹状突起の分岐の頻度において、実験群の方が対照群より高くなっている傾向がみられた
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