1996 Fiscal Year Annual Research Report
光散乱を指標にした体積測定法による血球膜の粘弾性の解析とその適用
Project/Area Number |
08877008
|
Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
廣田 秋彦 島根医科大学, 医学部, 教授 (50156717)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 浩一 島根医科大学, 医学部, 助手 (70112125)
|
Keywords | 光散乱 / 光学的体積測定法 / 赤血球 / 浸透圧 / 膜の粘弾性 / フォトダイオード光源 |
Research Abstract |
測定装置の開発:本研究は、浸透圧を急速に変化させた時に観測される高速かつ変化分の小さな光散乱の変化を観測するため、特殊な光学装置を自作した。最終的にはユニソク(株)製のmixing chamberと、自作したステッピングモーター駆動の電動シリンジ4本、制御装置から構成されるrapid mixing stopped flows装置を作製した。mixing chamberの直後にヘパリン処理を施したヘマトクリット管を取り付け、赤色発光ダイオードを光源に、フォトダイオードを受光器として、このヘマトクリット管を透過する光の光学密度を測定した。制御装置から、デジタルストレージスコープへのtrigger pulseと電動シリンジの制御信号を発生させ、ストレージスコープに記録した光学シグナルをGPIBでパソコンに転送し、解析・表示を行った。測定に用いた血液資料は赤色発光ダイオードのピーク波長660nm付近での吸光は非常に小さいので、透過光の減少は光散乱によるものとみなすことができ、それをもとに赤血球の体積の変化を高い時間分解能で測定することができた。 (1)正常赤血球を用いた実験:等張、低張あるいは高張のNaCl溶液に赤血球を浮遊させた液と違う浸透圧のNaCl溶液を急速に混合することにより浸透圧を急激に変化させ、それぞれの条件下での体積変化の時定数を求めた。さらに赤血球の体積が変化している途中で別の浸透圧に変化をさせる実験を行うことにより、膜の弾性要素と粘性要素を分離し、実験式上の定数を求めることに成功した。 (2)実験的病態赤血球を用いた実験:赤血球の膜の裏打ち構造であるスペクトリンやアクチンに対し、種々の薬剤やこれらの蛋白の抗体を用いて膜の粘弾性要素を変えた赤血球を作製し、これを病態赤血球のモデルとする試みを行っているが、現在の所、期待された正常赤血球との有意の差を捉えることが出来ず、引き続き実験条件を検討中である。
|