1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋エクト-5'-ヌクレオチダーゼ活性は膜電位に依存するか
Project/Area Number |
08877011
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
有田 眞 大分医科大学, 医学部, 教授 (60037364)
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Keywords | エクト-5'-ヌクレオチダーゼ / アデノシン / マイクロダイアリシス / ラット心筋 |
Research Abstract |
本年度はマイクロダイアリシス法による心筋エクト-5'-ヌクレオチダーゼ活性の評価方法を確立した.ラットを麻酔人工呼吸下に開胸し,心筋用に我々が開発したマイクロダイアリシス用プローブを左心室筋層内に装着した.プローブをマイクロインジェクションポンプに接続し,タイロード液を毎分1μlで灌流しながら,15分毎に採取した透析液中にアデノシン濃度を測定した.アデノシン濃度は高速液体クロマトグラフ法(HPLC)により測定し,結果は本科研費で購入したHPLC解析システム(ADInstruments・PowerChrom)を装着したコンピュータにより解析した.タイロード液灌流下のアデノシン濃度は,プローブ装着直後には高値を示したが次第に減少し,定常状態では0.51±0.09μM(n=16)であった.そこでエクト-5'-ヌクレオチダーゼの基質であるAMP(100μM)をプローブを通して灌流するとアデノシン濃度は9.79±0.08μM(n=12)へと著明に増加した.しかし,エクト-5'-ヌクレオチダーゼ阻害剤であるα,β-methyleneadenosine 5'-diphosphate(100μM)存在下にAMP(100μM)を添加してもアデノシン濃度の増加は認められなかった(0.76±0.12μM,n=8).また,各種濃度(10μM-1mM)のAMP添加によりアデノシンは濃度依存性に増加し,そのEC_<50>は107.2μMであった.この値はin vitro実験で報告されているラット心筋エクト-5'-ヌクレオチダーゼのK_m値に近似している.これらの実験結果は,プローブより一定量のAMPを灌流しながら同時測定したアデノシン濃度が,心筋エクト-5'-ヌクレオチダーゼを反映していることを示唆するものである.
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[Publications] 佐藤俊明: "Nicorandilによる心筋アデノシン産生増加作用-In vivo マイクロダイアリシス法による検討-." Therapeutic Research. 17(4). 105-106 (1996)
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[Publications] 佐藤俊明: "ニコランジルはCyclic GMPを介して心筋間質アデノシン産生を増加する" Therapeutic Research. (印刷中).
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[Publications] Toshiaki Sato: "Glibenclamide decreases adenosine production in rat heart by inhibiting 5'-nucleotidase." Circulation. 94(8). I-364- (1996)
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[Publications] Toshio Obata: "Increases in interstitial K^+ concentration elevate the level of adenosine in rat ventricular myocardium." Journal of Molecular and Cellular Cardiology. (印刷中).