1996 Fiscal Year Annual Research Report
発生期心筋のDNAライブラリー作成とそれによるKチャネル発生過程の検討
Project/Area Number |
08877012
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
當瀬 規嗣 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (80192657)
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Keywords | 発生期 / 心筋 / 遺伝子 / Kチャネル |
Research Abstract |
本年度は胎生12、18日および成体のラットより摘出した心臓の心室あるいは将来心室となる部分をもちいて、DNAライブラリーを作成した。ライブラリーの成否を確認するために、ウサギ心室筋の内向き整流性KチャネルをコードするRBHIK1遺伝子よりプローベを作成し、類似の遺伝子が作成されたライブラリーに存在するかをチェックした。しかし、RBHIK1に類似する配列を持つ遺伝子の大腸菌クローンは検出されなかった。これは、イオンチャネルの遺伝子が元々なかったか、ライブラリーの作成が不適切で検出できなっかったの、いずれかの可能性が考えられた。そこで、ラット胎児心臓にRBHIK1遺伝子が存在するか否かを確認するため、各ステージの心筋から抽出したmRNAにRBHIK1の膜貫通領域を挟むプローベを直接的に作用させ遺伝情報を増幅(RT-PCR法)させたところ、RBHIK1に類似した配列を検出することに成功した。この結果、ラット心筋の内向き整流性Kチャネルをコードする遺伝子は発生期を通じて存在するが、その膜貫通領域のアミノ酸配列は心臓発生につれて5ないし6ケ所で置き換えが起こっていることが明らかになった。以前、ラット胎児の急性単離心筋細胞で、内向き整流性Kチャネルの単一伝導度が発生につれて大きくなることが報告されているが、今回、本研究で得られた結果はこのこととの関連において非常に興味深い。したがって、来年度はこの点に絞り、まず、発生各期の内向き整流性Kチャネルの全遺伝子配列を3'-および5'-RACE法をもちいて確定する。更にその情報を基にcRNAを作成して、それをカエル卵母細胞に注入しそのクローンチャネルの機能を電気生理学的に検討する予定である。
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