1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化の新しい制御機構の分子レベル及び個体レベルでの解析
Project/Area Number |
08877031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧原 義宏 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (60226967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 学 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (70294121)
友常 大八郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80283802)
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Keywords | F9細胞 / 14-3-3 / ポリコ-ム遺伝子群 / rae28遺伝子 / CATCH22症候群 / 先天性心疾患 / Hox遺伝群 / 遺伝子発現維持機構 |
Research Abstract |
本研究ではマウス胚性腫瘍細胞株F9をレチノイン酸によって分化誘導する際に、発現が誘導される2つの遺伝子について機能解析を進めてきたが、14-3-3をコードするrae12遺伝子群の細胞がん化・分化における役割については、昨年度までの解析で一応の結論を得たので、本年はポリコ-ム遺伝子群の一つrae28遺伝子の機能解析及び発現誘導機構の解析を行った。個体レベルでの機能解析を目的として、相同遺伝子組換えを利用してノックアウトマウスの作製を行った。ホモ接合体は出生直後にチアノ-ゼを呈して、致死となり、先天性心疾患解明のために最近注目されている系統的神経堤細胞の分化異常と考えられているCATCH22症候群のすべての症候及び骨格の後方変異が認められた。さらに分子レベルでHox遺伝群が菱形脳及び骨格において異常に発現し、遺伝子発現の維持機構に異常を来していることを明らかにした。また、rae28遺伝子の発現がレチノイン酸によって誘導される分子機構を解析し、rae28遺伝子のプロモーター上流にレチノイン酸による転写誘導を担う配列を見つけ、新規なDNA結合タンパク質がレチノイン酸による転写誘導に関与していることを明らかにした。これららの研究結果は哺乳動物の形態形成の制御機構及び分子レベルでのレチノイン酸の作用機構の理解のために重要な情報を提供するだけでなく、ヒト先天性心疾患の分子レベルでの病因解明に道を開くことが期待される。
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[Publications] Y.Takihara et al.: "Targeted disruption of the mouse homologue of the Drosophila polyhomeotic gene leads to altered anteroposterior patterning and reural crest defects." Development. 124. 3673-3682 (1997)
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[Publications] M.Nomura et al.: "A survey of genes expressed in mouse embryonal carcinoma F9 cells:Characterization of expressed sequence tags matching no known genes." J.Biochem.(Tokyo). 122. 129-147 (1997)