1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08877048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲野 徹 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00172370)
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Keywords | 遺伝子クローニング / 造血幹細胞 / マウス / 転写因子 |
Research Abstract |
血液細胞は、一個の多能性造血幹細胞から分化する。多能性幹細胞の未分化状態維持機構の解明は、幹細胞システム全体の理解につながるものである。この問題を解決する手がかりをつかむために、マウス胚性幹細胞から血液細胞へのin vitro分化誘導法(OP9法)を用いた二つのアプローチを試みている。 一つは、未分化な造血細胞で発現している遺伝子のクローニングである。OP9法による分化誘導5日目には、発生初期に出現する多能性造血前駆細胞が存在することが明かとなっている。そこで、分化誘導5日目の細胞を材料に用いて、造血前駆細胞に発現している分泌蛋白・1型膜蛋白を、シグナルシークエンスを指標にそれらの蛋白をコードする遺伝子を効率よくクローニングする方法であるシグナルシークエンストラップ法を用いてのスクリーニングを行った。その結果、24クローンのシグナルシークエンスを含むcDNA断片をクローニングすることができた。現在、そのうち分化誘導後のES細胞において強く発現するクローンについての解析を進めている。このうちのいくつかの遺伝子は、造血細胞の未分化能を維持するためのシグナル伝達になんらかの機能を有していることが期待できる。 もう一つは、温度感受性SV40 Large T遺伝子をES細胞に遺伝子導入して強制的に発現させ、OP9法にて分化誘導を行った後、許容温度下で培養することにより、不死化した造血幹細胞株樹立の試みである。現在、発現ベクターの構築をすませ、遺伝子導入を行っている。このような細胞が樹立できれば、未分化能を維持する分子機構の理解を急速に深めることができるものと期待できる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Nakano,H.Kodama,T.Honjo: "In vitro development of primitive and definitive erythrocytes from different precursors." Science. 272. 722-724 (1996)
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[Publications] K.Tashiro,T.Nakano,T.Honjo: "Signal sequence trap : expression cloning methods for secreted proteins and type 1 transmembrane proteins." Methods in Molecular Biology. 69. 203-219 (1996)
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[Publications] T.Hamada,T.Nakano,et al.: "Isolation and characterization of a novel soluble factor gene : a contibutional trial for resolution of intercellular signal transduction." Genomics. 37. 273-280 (1996)
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[Publications] T.Era,T.Takahashi,K.Sakai,K.Kawamura,T.Nakano: "Thrombopoietin enhances proliferation and differentiation of murine yolk sac progenitors" Blood. (in press). (1997)