1997 Fiscal Year Annual Research Report
多核球依存性血管透過性亢進は細胞膜表面でのキニン系活性化に基づくか?
Project/Area Number |
08877049
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 哲郎 熊本大学, 医学部, 教授 (60112405)
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Keywords | 血漿キニン系 / 化学伝達因子 / ハ-ゲマン因子 / プレカリクレイン / 高分子キニノーゲン / 血管透過性亢進 / 多核白血球 / 分子構造 |
Research Abstract |
まず、モルモットにおける血漿キニン系の詳細を明らかにする研究を行った。キニン系の3因子のうち、ハ-ゲマン因子に付いては、既に一次構造についても報告しているので、残りのプレカリイクレインと高分子キニノーゲンのcDNAを、モルモット肝のcDNAライブラリーからクローニングし、ヌクレオチド配列を解析した。前者については解読を終了したが、後者については現在70%が終了している状態である。一方、この3因子をモルモット血漿から精製し、その活性化機構を解析した。ヒトの場合、活性型ハ-ゲマン因子とカリクレインとによる相互活性化が主要なものであるが、モルモットの場合には活性型ハ-ゲマン因子によるプレカリクレインの活性化が一方向性に進むいわゆるカスケード型活性化が主要な機構であった。この違いを説明するために、ヒトとモルモットのハ-ゲマン因子とプレカリクレインの活性化に必要な限定水解部位近傍のアミノ酸配列を持つペプチドを合成して酵素学的な解析を行い、その理由を明らかにした。この様に、モルモット血漿キニン系の活性化機構も明らかになったので、それぞれの因子に対する抗体をウサギに作成した。 これらの抗体を用いて、モルモット多核白血球膜状にこれらの因子が結合しているか否かを観察したが、今までのところ結合を確認できる明瞭な結果を得ることができていない。 そこで、多核球依存性血管透過性亢進反応におけるキニン系の役割を解析することを一時中断し、以前から興味を持っていたクジラのキニン系について検討した。クジラ血漿中には、ハ-ゲマン因子とプレカリクレインが欠損しているのに高分子キニノーゲンは存在していた。クジラ肝のハ-ゲマン因子遺伝子を解析したところ、複数の点突然変異により偽遺伝子化していた。
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[Publications] 山本哲郎: "感染におけるプロテアーゼ・カスケード" 化学療法の領域. 12(2). 229-236 (1996)
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[Publications] Teturo, Yamamoto: "Species differences in amino acid sequences of Hageman factor and prekallikrein at region around scissile bond in activation." Immunopharmacology. 32. 34-38 (1996)
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[Publications] Hiroshi, Maeda: "Pathogenic Mechanisms Induced by Microbial Proteases in Microbial Infections." Biol.Chem.Hoppe-Seyler. 377. 217-226 (1996)
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[Publications] Umeko, Semba: "Whale Hageman factor (factor XII): Prevented production due to pseudogene conversion." Thromb.Res.(in press). (1998)
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[Publications] Tetsuro, Yamamoto: "Microcirculation approach to asain traditional medicine" Elsevier Science, Amexterdam., 253 (1996)