1996 Fiscal Year Annual Research Report
特異遺伝子の検出を利用した培養不可能状態のビブリオの生態学的研究
Project/Area Number |
08877054
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠田 純男 岡山大学, 薬学部, 教授 (50029782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 伸一 岡山大学, 自然科学研究科, 助手 (60182060)
友近 健一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (00093691)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / 生態学 / PCR / 培養不可能細胞 |
Research Abstract |
ビブリオ属菌は自然環境水を棲息域とする細菌で,低水温期や非流行期には検出されないが,その原因の一つに菌が生きてはいるが通常の培養法では検出されない状態(viable but non-culturable:VBNC)で存在しており,何らかの要因で培養による検出が可能な細胞に復帰するとの考えが出てきている。したがって,VBNC細胞としての生態を調査し,VBNCへの移行あるいはその逆が,どのような機構によるのかを明らかにすることは,予防衛生上重要である。しかし培養不可のため,検出が困難であるので,本研究ではpolymerase chain reaction(PCR法)等により,特異遺伝子断片を検出する方法を開発して生態学的研究に応用するのを目的としており,腸炎ビブリオの側毛遺伝子lafAの系を検討した。まずlafA遺伝子から4つのプライマー領域(S1,S2,A1,A2)を選択し,その組合せで腸炎ビブリオのPCRによる検出が可能なことを確かめ,プライマーの特異性をみるために,他のブビリオ属細菌についても同様に検討をおこなった。その結果,S1-A2,S2-A2のプライマーの組合せを用いれば,PCR法によって腸炎ビブリオが特異的に検出できることが明らかとなった。さらに,実験室内でVBNC菌を含むnonculturable cellsを最も形成しやすい条件について検討し,低温条件下で飢餓状態にさらせば,腸炎ビブリオのnonculturable cellsを容易に得ることを明らかにした。これらがVBNC菌を含むかどうかは,nonculturable cellsのviablityを調べる必要があるが,試料の調整方法や,ヒートショックの条件を種々検討すれば,自由にVBNC菌をつくり,culturable cellsに復帰させことが可能であると思われた。 以上の基礎的研究により,lafAのPCR法による検出系により水環境での腸炎ビブリオのVBNCの生態学的検討の可能性が開けたと言える。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Venkateswaran,K.,Kurusu,T.,Satake,M.,Shinoda,S.: "Comparison of a fluorogenic assay with a conventional method for rapid detection of Vibrio parahaemolyticus in seafoods." Applied and Environmental Microbiology. 62. 3516-3520 (1996)