1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルデヒド脱水素酵素2の遺伝子多型性と有機溶剤の代謝・毒性との関連性
Project/Area Number |
08877065
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
那須 民江 (中島 民江) 信州大学, 医学部, 講師 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 俊文 信州大学, 医学部, 助教授 (50231105)
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Keywords | アルデヒド脱水素酵素2 / アルデヒド類 / 代謝 / 遺伝子 / ラット / ヒト / トリクロロエチレン / ホルムアルデヒド |
Research Abstract |
1.Trichloroethylene(TRI)およびメタノール曝露が10種類のアルデヒド類の代謝に与える影響を検討した。TRIは肝可溶性分画におけるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、抱水クロラール、プロピオンアルデヒドおよびフェニルアセトアルデヒド代謝を抑制したが、ノニルアルデヒド、3-フェニルプロピオンアルデヒドおよびビタミンAアルデヒドの代謝には影響を与えなかった。TRIはベンズアルデヒドと2、5-ジヒドロキシベンズアルデヒドの代謝を促進させた。このような現象はミトコンドリアではもっと顕著であった。一方、TRIはミクロソームにおけるアセトアルデヒドの代謝には影響を与えず、ベンズアルデヒドの代謝を若干増大させた。このように、TRIは肝の可溶性分画とミトコンドリアのALDH活性を低下させるが、TRIによって影響を受けるALDHは炭素鎖が短い脂肪族のアルデヒドに親和性が高い分子種である。 2.ヒトALDH2遺伝子多型トアルデヒド類の代謝:ミトコンドリアと可溶性分画におけるホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの代謝は活性型のホモ接合型の者の方がヘテロ接合型より明らかに高いが、ベンズアルデヒドの代謝には両群間に差が認められなった。ミクロソームにおけるアセトアルデヒドとベンズアルデヒドの代謝にはALDH2の遺伝子多型の影響は認められなかった。以上の結果からALDH2に親和性の高いアルデヒドがTRIにより代謝抑制を受けていることが明らかである。 3.毒性・発癌性実験の開始:ラットを4群に分け、1群は対照群、他の3群にはそれぞれホルムアルデヒド投与群、抱水クロラールとホルムアルデヒド投与群、抱水クロラール投与群とする。ホルムアルデヒド(5mg/100m1)と抱水クロラールは飲料水で投与する。これらの投与を現在継続している。
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