1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルデヒド脱水素酸素2の遺伝子多型性と有機溶剤の代謝・毒性との関連性
Project/Area Number |
08877065
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
那須 民江 信州大学, 医学部, 講師 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 俊文 信州大学, 医学部, 助教授 (50231105)
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Keywords | アルデヒド脱水素酵素 / ホルムアルデヒド / 抱水クロラール / 精巣障害 / 肝障害 / 鼻腔癌 / 骨髄 / 視神経 |
Research Abstract |
60匹のウイスター系雄ラットを4群に分け、1群は対照群、他の3群はそれぞれホルムアルデヒド投与群、抱水クロラールとホルムアルデヒド投与群(混合群)、抱水クロラール(0.25g/100ml)投与群とした。ホルムアルデヒド(75mg/100ml)と抱水クロラールは飲料水で投与した。これらの投与を1997年2月4日から同年12月9日(約11ヶ月)与えた。動物は体重測定後、ペントバルビタールで麻酔をし、血液、肝、腎、肺、精巣、骨髄、鼻腔を採取した。各群の半数は生化学的検索に使用するため、-85℃下で保存した。残りの半分は病理学的検索のため、ホルマリンで固定した。 1.末梢血液像は後大静脈から採血したものを、Sysmex,F-820(東亜医用電子)で測定した。抱水クロラールとホルムアルデヒド群の白血球が減少していたが、混合群では対照群との差は認められなかった。さらに右大腿骨骨髄について細胞数と細胞分類を行った。ホルムアルデヒド群ではリンパ球の減少が見られたが、混合群では見られなかった。 2.鼻腔の病理学的変化は認められなかった。 3.ホルムアルデヒド群では全例に、抱水クロラール群では40%に肝の巣状壊死がみられたが、混合群では認められなかった。 5.ホルムアルデヒド群と抱水クロラール群の精巣にはそれぞれ同程度の間質の増生が認められた。混合群でも単独群と同程度の間質の増生が認められた。 6.視神経、肺、食道、骨髄にはいずれの群においても異常は認められなかった。 7.ALDHの活性(ホルムアルデヒドの代謝)は抱水クロラール群および混合群で同程度に低下していた。 8.まとめ:ホルムアルデヒドの毒性にALDHが関わっていることが判明し、肝や精巣に体する毒性は代謝物のギ酸によるものと推定された。
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[Publications] 中島 民江: "有機溶剤による健康影響第3回有機溶剤の代謝と個体差の発現要因" 産衛誌. 39・3. A51-A52 (1997)
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[Publications] Nakajima T.: "Cytochrome P450 isoforms and the metabolism of volatile hydrocarbons of low relative molecular mass" J Occup Health. 39・2. 83-91 (1997)
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[Publications] 中島 民江: "産業保健におけるバイオマーカー -特に感受性のバイオマーカーの研究の動向について-" 産業医学レビュー. 9・2. 81-95 (1996)