1996 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウィルス特異的ヘルパーTクローン樹立と抗原依存性TH1・TH2分化の検討
Project/Area Number |
08877087
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 光樹 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30250781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 正顕 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
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Keywords | C型肝炎ウィルス / Tリンパ球 / リコンビナント・ワクシニア・ウィルス |
Research Abstract |
本課題のC型肝炎ウィルス(HCV)抗原特異的ヘルパーT細胞クローンを樹立するにあたり、初めに、使用するHCV抗原に対する反応を検討した。HCVコア抗原に特異的なT細胞の反応について研究を開始した。抗原には、HCVコア抗原全長を発現するリコンビナント・ワクシニア・ウィルス(v39と呼称)、対照抗原としてマウス・フレンド白血病ウィルスコア抗原を発現するリコンビナント・ワクシニア・ウィルス(△AB)を用いた。C型慢性肝炎症例の末梢血より単核球を分離して、これらの抗原に対する反応性を^3H-サイミディンの取込で検討したところ、v39特異的な反応はインターフェロン治療後の26症例の中で著効8例中4例(50.0%)、無効6例中1例(16.7%)、未治療12例中1例(8.3%)に認められた。また、コア抗原刺激によるT細胞反応がさらに免疫反応の調節に与える影響を調べる目的で、サイトカイン産生を検討した。インターフェロン未治療の5例では、v39刺激後の培養上清中にはIL-2[3.0±2.3(pg/m1;平均±標準誤差、以下同様)]、IL-4[62.8±46.9]、IL-10[14.3±6.1]、IFN-γ[39.8±20.7]でIL-4産生の亢進が認められたが、インターフェロン終了後の著効3例では、IL-2[215.3±109.1]、IL-4[17.0±1.9]、IL-10[39.5±11.6]、IFN-γ[737.9±410.6]とIL-2およびIFN-γの産生が主体であった。これらの結果から、初めからHCVコア抗原特異的な免疫反応が未梢血で見られる症例にインターフェロン治療によってHCVの駆除が得られるのではなく、HCV消失とともにコア抗原に対する反応が誘導されると考えられた。しかも、この免疫反応はサイトカイン産生から見るとIL-4産生からIL-2およびIFN-γ産生へと質の転換が起こっていることが想像された。
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