1996 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞の遺伝子解析-神経系による調節機構の解明-
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08877090
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
秋吉 英雄 鳥取大学, 医学部, 助手 (20150360)
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Keywords | 肝臓 / 肝線維症 / 線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 / 伊東細胞 / 神経支配 / マスト細胞 |
Research Abstract |
実験的にラット肝線維症を作成し,各種抗体による免疫組織化学法と透過型電顕により形態学的に検索した。肝線維症は(1)四塩化炭素腹腔内投与と(2)下大静脈結紮によるうっ血性肝線維症を作成し結果を比較した。伊東細胞(lipocyle),筋線維芽細胞,線維芽細胞の細胞同定には抗glial fibrillar acidic protein(GFAP)抗体,抗a-smooth muscle actin(ASMA)抗体,抗デスミン抗体を使用した。神経線維の分布と局在はアセチルコリンエステラーゼ活性法と抗神経伝達物質の各種抗体(TH,CGRP,VIP,NPY,SP,等)を使用した。 (1)四塩化炭素腹腔内投与肝線維症 投与後6週目で門脈域と中心域を結ぶ線維隔壁による偽小葉形成が見られた。主としてコリン作動性神経繊維の増加と再編成が出現し,筋線維芽細胞-マスト細胞一神経終末複合体の形成を線維化巣内で認めた。筋線維芽細胞のup regulationにマスト細胞からのサイトカインまたは神経伝達物質が関与していることが推察された。 (2)下大静脈結紮によるうっ血性肝線維症 中心静脈周囲および類洞周囲には線維芽細胞は存在せず,この領域の線維化にはGFAP陽性・伊東細胞がASMA陽性・筋線維芽細胞に転化し、膠原線維産生を行っていることが明らかとなった。この伊東細胞のup regulationには低酸素症・血栓形成が関与していることが推察されたが,さらに神経系の関与も検討している。 現在,膠原線維産生細胞を分類しそれぞれの細胞骨格による検索は終え,次に細胞膜リセプター検索を行っている。つまり神経伝達物質,マスト細胞関連物質,クッパー細胞をはじめとした炎症性細胞からのサイトカイン関連リセプター(VIPリセプター,PDGFリセプター,TGF/FGFリセプター)の検索を行っている。
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