1996 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児におけるヒトヘルペスウイルスtype8 (HHV8)の感染動態に関する研究
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08877125
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
日比 成美 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20228745)
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Keywords | HHV8 / 周産期感染症 / 母乳 / だ液 / HHV6 / HHV7 |
Research Abstract |
Human herpes virus type 8 (HHV8)は、1994年に新たに同定された8番目のヒトヘルペス属ウイルスで、その感染動態は全く知られていない。そこで本研究は、他のヘルペス属ウイルスが乳幼児期に感染することが多いという特徴に着目し、乳児を対象に前方視的にHHV8を検索すればHHV8の感染動態を明かに出来ると考えた。そこで、両親の十分な理解と了解を得た後、成熟児について出生時の臍帯血およびその後の検診時や急性感染症時の唾液、(血液)を採取し、出産時の母親の唾液と母乳もあわせてHHV8ゲノムDNAをPCR法によって前方視的に検索を行えば、HHV8の感染経路、乳幼児期急性感染症との関わりを明らかにすることが出来ると考えた。 これまでに、29組の親子から唾液、および母乳を約900検体から得た。フェノール・クロロホルム法により全ての検体からDNAの抽出をこれまでに完了した。現在、HHV8特異的プライマーを作成し、材料から抽出したDNAを用いて、PCR法によるHHV8ゲノムDNAの検出にかかっている。 また、同時に進行していたHHV6、HHV7のウイルスゲノムの検索については、ほぼ終了し現在のところ以下の知見を得ている。HHV6は母乳および出生時の児唾液からは検出されなかったが、その後児の成長にともない児唾液から検出されはじめ、生後13-14か月時には36.4%が陽性となった。一方HHV7は母乳および出生時の児唾液からそれぞれ18.5%、3.7%に検出され、生後17-18か月後には66.7%の児唾液が陽性となっていた。従って、周産期にはHHV6に比し、HHV7の方が早期に感染にさらされると予想される。
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[Publications] 藤原史博: "乳幼児期HHV-6,HHV-7の感染動態に関する前方視的検討(第1報)" 小児感染免疫. 8(2). 148- (1996)
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[Publications] 藤原史博: "乳幼児期HHV-6,HHV-7の感染動態に関する前方視的検討(第2報)" 第28回日本小児感染症学会プログラム・抄録集. 108- (1996)
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[Publications] Hashida,T.: "Hepatitis in association with human herpesvirus-7 infection" Pediatrics. 96(4). 783-785 (1995)