1997 Fiscal Year Annual Research Report
先天性腎低形成・異形成の発症機序に関する分子生物学的研究-低親和性神経成長因子受容体の関与-
Project/Area Number |
08877129
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
副田 敦裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50147328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜野 晋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80208595)
奈良 隆寛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80180537)
松島 宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70190460)
奧野 章 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70147289)
|
Keywords | 先天性腎低形成 / 先天性腎異形成 / 神経成長因子 / 神経成長因子受容体 |
Research Abstract |
小児慢性腎不全の原因の20%以上を占めるのは腎低形成・異形成である。これまで我々は神経成長因子(NGF)/受容体(p75)カスケードの神経系での役割を研究してきた。この過程で本疾患が中枢神経系奇形に合併すること。さらにp75が腎の形成過程に重要な役割を果たすことが示唆されたことの2点から、p75の異常は神経系のみならず、腎の形態形成にも異常をもたらすのではないかとの仮説立て、これを証明することを目的に研究を計画した。具体的には(1)正常の腎発生過程におけるp75の発現を経時的に検討する。(2)in vitroにおいてp75の発現を抑制し、如何なる変化が生ずるかを腎の器官培養にて検討する。(3)ラット胎仔の発生過程において、特異抗体を用いてin vivoでp75の作用を阻害し、腎に如何なる障害が生ずるかを検討することを目的とした。 研究結果:正常の腎発生過程におけるp75蛋白の経時的発現を検討する目的から、ラットの腎臓につき経時的にp75の発現を特異抗体(抗-ラットp75抗体:clone192)を用いた間接蛍光抗体法にて免疫組織化学染色を行った。ラット胎仔の腎組織にはp75弱陽性細胞が観察されたが、その発現が極めて弱いため、発現細胞を同定することはできなかった。また胎仔腎組織のホモジェネートではノーザンブロットにてp75の発現が認められた。今後、蛍光抗体法に代わり、^<125>I-NGFを用いたin situハイブリダイゼーションによる検討が必要である。また、小児の腎生検材料につきp75ならびに高親和性NGF受容体trkAの発現を間接螢光抗体法にて検討し、小児腎疾患の臨床症状とNGF受容体の発現の関連を検討することは意義あることと考えられた。さらに妊娠ラットに抗NGF受容体抗体を注入し、in vivoでのラット胎仔のNGF/NGFRカスケードを阻害し、腎に如何なる障害が生ずるかを検討することも予定している。
|
Research Products
(1 results)