1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌の化学療法におけるP蛋白の発現及び耐性克服についての基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
08877141
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
石田 淳 島根医科大学, 医学部, 助手 (00212887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 俊文 島根医科大学, 医学部, 教務員 (70194701)
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Keywords | 薬剤耐性 / P糖蛋白 / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
6人の正常肝実質、及び21人の慢性肝障害(肝硬変及び慢性肝炎)に原発性肝癌を合併した患者の切除標本にてP糖蛋白の発現率を検討した。なおP糖蛋白の発現率は抗P糖蛋白モノクローナル抗体を用いたABC法にて免疫染色を施行後P糖蛋白抗原陽性部分の面積の半定量化を検出した。P糖蛋白の局在は正常肝実質及び慢性肝障害肝実質では肝細胞と接合部やグリソン鞘内胆管及び毛細胆管細胞膜上で類洞側の肝細胞膜上には認められなかった。また癌組織でも同様の局在が観察されたが不規則な分布を示しまた偽胆管形成時にはその管腔側細胞膜上にも認められた。 P糖蛋白の発現率は慢性肝障害肝組織、正常肝実質、原発性肝癌組織の順に高く原発性肝癌組織と正常肝実質、原発性肝実質と慢性肝障害肝組織の間に有意差を認めた。また原発性肝実質の中では分化度の高い順にP糖蛋白の発現は高かったが明らかな有意差は認めなかった。 針生検は18Gのtrue cutting typeの生検針を使用し抗癌剤動注前後で数例行い切除標本と同様にP糖蛋白の免疫染色を行ったがいずれの症例でも染色できなかった。針生検後パラフィン固定までの間の操作に不備があるのかあるいは更に染色の増強作用を持つ物質などを検討する必要があると思われた。また免疫組織学的には証明はされなかったが臨床的に耐性を獲得したと思われる原発性肝癌の症例(リピオドールと抗癌剤を混ぜた薬剤を動注後CTにて早期にリピオドールが腫瘍より消失した例など)にP糖蛋白耐性克服薬とされるカルシウム拮抗剤併用の抗癌剤動注療法の施行についてもカルシウム拮抗薬の血圧低下などの副作用のため行えなかった。
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