1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08877149
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (00212952)
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Keywords | 膵β細胞 / 受容体チロシンキナーゼ / 増殖 / 再生 |
Research Abstract |
膵β細胞は最終分化状態にあり、そのターンオーバの割合は極めて低いと考えられている。しかし、近年、その分化・増殖・老化などを通じて膵β細胞の容量もダイナミックに変化するという知見が得られ、糖尿病の発症や重症度に影響する可能性が注目されている。我々は多くの組織の増殖・分化因子の受容体がチロシンキナーゼ活性を持つことをふまえて、膵ラ氏島に発現する受容体チロシンキナーゼをスクリーニングした。膵β細胞の増殖・再生に関わる受容体を推定するために、膵ラ氏島が膵切片上15〜20%を占める程極度に肥大・増殖し,終生高インスリン血症を保つ、肥満・糖尿病TSODマウスと、対照TSNOマウスのラ氏島を用いた。両マウスラ氏島RNAより、受容体型チロシンキナーゼ・クローンを各々500個単離し、各受容体の発現頻度を比較した。その結果、19種類の受容体チロシンキナーゼが見出され、そのうち4種がTSNOに比し、TSODで発現頻度が有意に上昇していた。うち2種は細胞増殖に伴う血管増生によると思われる、血管内皮増殖因子VEGFの受容体Flt-1とFlk-1であった。他の2種のうち1つはIGF1Rで、IGF-1は以前より膵β細胞の増殖因子の候補としてあげられていたが、最近の知見で膵ラ氏島内の血管内皮細胞に限局しており、そのラ氏島細胞へのin vitroの増殖効果も大きくなく、少なくとも主たる増殖調節因子ではないと考えられている。残る受容体は、最も発現の強いもののひとつで、そのリガンドはわかっていないorphan受容体であった。現在この遺伝子の発現細胞、年齢・糖尿病状態による発現レベルの変化などを詳細に検討している。
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[Publications] T.Kayo,et al: "Proprotein-processing Endoprotease Furin Controls Growth of Pancreatic β Cells." Diabetes. (印刷中). 泉哲郎 (1997)
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[Publications] 最新医学: "1997" 糖尿病成因遺伝子解明へ向けて, (6)