1996 Fiscal Year Annual Research Report
低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の遺伝子の解析と蛋白機能の解析
Project/Area Number |
08877157
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清野 佳紀 岡山大学, 医学部, 教授 (80028620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守分 正 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (40243505)
田中 弘之 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80231413)
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Keywords | 低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病 / PEX / RT-PCR / 骨 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
ヒト低リン血症性ビタミンD抵抗性佝僂病(XLH)の原因遺伝子がPEXであることが明らかになって既に2年経過したが、この遺伝子の発現機構、生理的役割など殆どが未だに不明である。そこで、1)日本人XLH患者におけるPEX遺伝子の変異の同定、2)PEX遺伝子の生理的発現状態、3)PEX産物の生理的基質について検討した。 1)当科で加療中のXLH患者7家系11名からリンパ球を分離しEBウィルスで形質転換させた。この細胞よりRNAを抽出、RT-PCRをおこなったのち塩基配列決定を行った。現在まで2家系3名の患者で変異を同定できている。しかし他の例では設定した配列内には変異が認められず、本疾患に於ける変異はPEX遺伝子に広範に分布していることが考えられた。また、このことはPEX産物には明らかな機能ドメインが存在しないことを示唆する。 2)ヒトにおいてはPEX遺伝子の発現は血液では臍帯血、EB芽球、LPS刺激後のリンパ球にのみ確認できた。しかしこれらの発現量はかろうじてRT-PCRでのみ確認できるほど低レベルであった。マウスのPEX遺伝子はヒトと塩基配列で90%以上の相同性を持つことを明らかになったので、生理的なPEX遺伝子の発現状態をマウスにおいて検討した。マウスにおいても発現は骨、脾臓にのみ認められ、腎臓には認められなかった。特に骨に於ける発現は検討しえた臓器のうち最も高度であり、加令とともに減少していくことが確認された。本遺伝子の発現状態がリンの血中濃度を決定している可能性が考えられる。 3)骨芽細胞培養液中にPEXの基質と考えられるリン利尿因子の存在が疑われた。 現在、日本人XLH患者の遺伝子変異をイギリスのグループとも共同でDNAレベルで検討中で全ての患者がPEX遺伝子の変異を持つか明らかになるものと考える。 また、今年度の研究によって発現状態が明らかにできたのでPEXの基質であるリン利尿因子を近い将来同定できるものと考える。
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