1996 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンを介したHTLV-1遺伝子発現調節と感染リンパ球の機能異常の解析
Project/Area Number |
08877166
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 俊樹 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30182934)
|
Keywords | HTLV-1 / LTR / Promoter / CAT assay / Estrogen / VirusLoad |
Research Abstract |
本年度は以下の項目について解析を行った。 1、女性ホルモンによるHTLV-1 LTRの機能調節の検討:ステロイドホルモン除去RPMI1640+10% FCS培地で培養したJurkat細胞株にLTR CATをreporter geneとしてトランスフェクションし、progesterone添加の有無によるCATの活性を検討した結果、HTLV-1 LTRの活性はprogesterone添加により有意に抑制されることが明らかになった。deletion seriesおよびmutantを用いた解析により、この抑制には我々が明らかにしたT3Rの結合領域とほぼ一致する領域が関与している事が明らかになった(第44回日本ウイルス学会)。しかし、Northern blotによる解析の結果、Jurkat細胞を含むひとりTリンパ球にはEstrogen receptorの発現が見られないことが明らかになり、どのような核内レセプターがこの制御に関与しているのかを解析中である。 2、HTLV-1キャリアーでの解析:無症候性キャリアーおよびHTLV-1ぶどう膜炎(HU)患者の末梢血検体に関し、半定量的PCR法を用いてHTLV-1プロウイルスDNA量=HTLV-1感染細胞の割合(ウイルスロード)を解析した結果以下の事柄が明らかになった。 (1)甲状腺機能亢進症に続発したHU患者のウイルスロードは、合併の無い患者と比較して有意に増加している(5.2【plus-minus】4.7% vs 2.8【plus-minus】3.4%,p<0. (2)甲状腺機能亢進症に続発したHU患者を除いて、HU患者におけるウイルスロードの男女差を比較すると、4.8【plus-minus】4.6%(n=24)vs 2.8【plus-minus】3.4%(n=36)で有意に男性の方が高値を示した(p<0.05)(第55回日本癌学会 以上の結果は、女性ホルモンがウイルス感染Tリンパ球においてEstrogen receptor以外の核内レセプターを介してウイルス遺伝子発現を制御し得ること、更にそれが実際にウイルスキャリアーにおける感染細胞の増殖制御に関与している可能性を示唆するものと考えられる。
|