1996 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン受容体ノックアウトマウスを用いた進行性腎障害の機構解明
Project/Area Number |
08877177
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早川 信彦 岡山大学, 医学部, 助手 (20243454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 岡山大学, 医学部, 助教授 (10233701)
槙野 博史 岡山大学, 医学部, 教授 (50165685)
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Keywords | アンギオテンシンII / ノックアウトマウス / 腎障害 / 糖尿病 / 高血圧 |
Research Abstract |
糸球体硬化、間質繊維化におけるアンジオテンシンII(AgII)の役割を明らかにするために、アンジオテンシン受容体(ATlaR)ノックアウトマウスを利用して、疾患モデルを作成した。すなわち、ネフロン数減少による糸球体硬化モデルとして部分腎摘モデルを作成し、糖尿病モデルとしてSTZ-DMモデルを作成した。発症機転の異なるこれら疾患モデルを解析する事により、組織障害進展の共通機序としてのAgIIの役割を直接的に明らかにする事が可能となる。いずれもホモ接合体、ヘテロ接合体、ワイルドマウスの3群を使用し、以下の項目について検討した。 (1)組織学的検討:糸球体肥大、糸球体硬化、間質繊維化・尿細管変化の定量的評価 (2)細胞外基質変化の検討:細胞外基質成分の質的・量的変化を蛋白・RNAレベルで解析した。 (3)メサンギウム細胞形質変化の検討:メサンギウム細胞形質変化を、α平滑筋型アクチンの発現変化を免疫染色およびNorthen解析にて評価した。 (4)アンジオテンシン受容体発現変化の検討:このマウスはインフレームでATla遺伝子をb-galoctosidase遺伝子で置換している。組織切片上でx-gal染色によりATlaR発現変化を検討した。 (5)一日尿蛋白排泄量の定量、クレアチニンクリアランスの測定・血中レニン活性の計測を行った。 その結果、部分腎摘モデルでは、ワイルド群においては、進行性の腎臓肥大と糸球体硬化を認めた。しかしホモ接合体においては腎肥大、糸球体硬化の進展、蛋白尿の発現が有意に抑制されていた。糖尿病モデルでは、ワイルド群において認められた、早期(1-2週)の腎・糸球体肥大、蛋白尿の発現が、ホモ群においては有意に抑制されていた。 以上の結果から、糸球体肥大、蛋白尿の発現にアンギオテンシンII-ATlaR系が重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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