1996 Fiscal Year Annual Research Report
生体部分肝移植術後における免疫学的低反応性の導入に関する研究(免疫抑制療法離脱の試み)
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08877186
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川崎 誠治 信州大学, 医学部, 教授 (80177667)
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Keywords | 肝移植 / 免疫抑制 / 免疫学的寛容 |
Research Abstract |
肝移植のみならず臓器移植術後患者において免疫抑制療法を中止しうるか否かを事前に判断する手段は国内外で確立されていない。近年、microchimerismの成立の有無がそれに関与しているとの報告がある一方で、それに対して否定的な報告もみられる。脳死臓器移植が通常の医療として確立している欧米では、試験的に免疫抑制剤投与を中止し、その後の経過で免疫抑制剤を中止のまま、あるいは再開するといった試みが報告されている。しかしながらその一部に非可逆的な拒絶反応をきたして再移植を余儀なくされた症例があることは、生体部分肝移植のみが施行され、再移植が極めて困難な本邦で同様な試みは容認され難い。以上を背景に、本研究では術前にドナーとレシピエントとの間で行われたlymphocyte crossmatch およびmixed lymphocyte culture によって得られる両者の“免疫学的な相性"が、術後経過とりわけ拒絶反応の有無と免疫抑制剤減量の可否に関わる影響について検討を行った。 その結果、lymphocyte crossmatch陽性例では、陰性例に比べて有意に難知性拒絶反応の発生率が高いことが明らかとなった。一方、mixed lymphocyte cultureの結果は術後経過に一定の関連がなく、腎移植における結果と異なっていた。 今後は、さらにmixed lymphocyte cultureの術後における推移が術後経過に及ぼす影響について、とくに免疫抑制状態と拒絶反応の発生との関わりについて検討を加える予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kawasaki,S,et cl: "Extended lateral segmentectomy using intraoperative ultrasound to obtain a partial graft" American Journal of Surgery. 171. 286-288 (1996)
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[Publications] Kawasaki,S,et al: "Temporary Shunt between right portal vein and vena cava in living related liver transplantation" J.Am coll Surg. 183. 74-76 (1996)
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[Publications] Hashikura,Y.et al: "Immunosuppressant switching between cyclosporine and tacrolimus after liver transplantation" Transplantation Proceedings. 28・2. 1034-1035 (1996)
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[Publications] 橋倉泰彦・他: "肝移植術中術後の凝固線溶糸の変動に関する研究" 外科. 58・2. 205-209 (1996)
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[Publications] 橋倉泰彦・他: "肝移植ドナーの術前後の栄養管理" JJPEN. 18・11. 833-836 (1996)
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[Publications] Ikegami,T.et al: "Should all hepatic arterial branches be reconstructed in living-related liver transplantation?" Surgery. 119. 431-436 (1996)
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[Publications] 橋倉泰彦・他: "高木弘(編):シクロスポリンの実際,「生体部分肝移植とシクロスポリン」" 国際医学出版, 19 (1996)