1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08877199
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 正博 神戸大学, 医学部, 助教授 (40166822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 助教授 (50189669)
金丸 太一 神戸大学, 医学部, 非常勤講師
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝特異転写因子 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
肝細胞癌切除症例の凍結肝組織の癌部および非癌部からRNAを抽出し、肝細胞の発生や分化に重要であると言われる肝特異転写制御因子HNF1αとHNF1βのmRNA発現比をCompetitive reverse transcriptional polymerase chain reaction (Competitive RT-PCR)法にて、検索したところ、肝細胞癌(31検体)ではHNF1α/HNF1β mRNA発現比(α/β発現比)は高分化型で高く、中分化型では等しく、低分化型で低いという結果が得られた。また、他の臨床病理学的因子とα/β発現比とを比較検討したが、α/β発現比の高いものでは肝細胞癌の腫瘍マーカーである血清α-fetoprotein値が正常範囲である症例が多い傾向がみられた。一方、肝炎のないヒト正常肝組織(2検体)ではα/β発現比は等しく、慢性肝炎及び肝硬変を含む非癌肝組織(18検体)では、低いものと等しいものがみられ、α/β発現比の高いものはなく、肝の線維化の程度が低い慢性肝炎症例でα/β発現比が低いという傾向がみられた。(第32回日本肝臓学会総会発表:演題番号P151)これらの結果より、早期肝癌は高分化型が多く、また血清α-fetoprotein値も正常であることが多いことから、画像診断で確定診断に苦慮するような細小肝癌において、肝生検材料を用いα/β発現比を測定することが肝癌の補助的診断として有用である可能性が示唆された。本法では、1回の測定にtotal RNAとして0.5μgあれば十分であり、今後、Needle biopsyで得られた微量の肝組織を検体として用いて同様の手法で安定した結果が得られるか、早期の高分化型肝癌の補助的診断法として有効であるかどうかを明らかにする。
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