1998 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する同胞リンパ球を用いた抗原特異的養子免疫療法の臨床的研究
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08877204
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
上田 祐二 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60254356)
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Keywords | 養子免疫療法 / 食道癌 / 可溶化腫瘍抗原 / 細胞傷害性Tリンパ球(CTL) / allogeneic cell therapy |
Research Abstract |
進行食道癌患者に対して、HLA一致同胞リンパ球を用いた特異的養子免疫療法が可能か否かの基礎的研究を継続した。昨年度報告したように、当施設で樹立したHLA-A24陽性の食道偏平上皮癌細胞株であるYH-1(HLA-A24,-;B-7,60;Cw-7,-)とYH-1からブタノール抽出法により精製された可溶化腫瘍抗原(CBE)を用いて解析を進めた。当施設でこの一年間に経験した進行食道偏平上皮癌患者のうちHLA-A24陽性癌患者は8例であり、手術後,化学療法前に末梢血単核細胞(PBMC;リンパ球,単球)を採取し、in vitroでのCBEに対する反応性を検討した。半数の4例はCBE0.1〜1.0μg/mlを至適濃度としてPBMCの有意な増殖活性の増強が認められた。しかしYH-1に対して特異的な細胞傷害活性を有する細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導できたのは1例のみであった。よってHLA-A24陽性の食道偏平上皮癌には共通抗原が存在することが示唆されたが、CTL誘導にはcrudeなtumor lysateからは大変効率が悪いことが示唆された。また対象とした8例の患者のうち3例にHLA一致同胞が存在し、そのPBMCを患者と同様の方法でCBEにてin vitro刺激したが、増殖活性,CTL活性ともにー例も得ることができなかった。 最近、久留米大学免疫学教室の伊東らが発見,同定した食道偏平上皮癌拒絶抗原であるSARTはin vivoで未感作の健常人のナイーブT細胞をも刺激しうる抗原であり、そのHLA-A24拘束性ペプタイドは強いCTL誘導能を有することが明らかにされてきている。今後はこれらの最近明らかにされつつある腫瘍拒絶抗原ペプタイドを用いれば、患者とHLAの一致した同胞のPBMCを用いた腫瘍特異的な養子免疫療法が可能になるかもしれない。
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Research Products
(1 results)