1996 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光色素を利用した悪性骨軟部腫瘍の術中肉眼的可視化による切除縁の決定
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08877235
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
楠崎 克之 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30177993)
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Keywords | 悪性骨軟部腫瘍 / 蛍光色素 / アクリジンオレンジ / 肉眼的可視化 / 腫瘍切除縁 |
Research Abstract |
本年度はアクリジンオレジン(AO)を用いた蛍光色素標識によるマウス骨肉腫およびヒト悪性骨軟部腫瘍のin vivoにおける肉眼的可視化の可能性について以下の実験を行った。 まず放射線誘発マウス骨肉腫細胞株MOSをC3Hマウスの背部皮下に移植し直径8mm以上の腫瘤を形成した時点で種々の濃度(0.5,1.0,1.5,2.0,2.5mg/ml)のAOを経腹膜的に投与した。次に腫瘍および周囲の正常組織(皮膚、皮下結合組織、筋肉、腸管、肝臓、など)に青色の励起光(350mm)を照射して腫瘍と正常組織から発生する蛍光の強さを経時的に実体顕微鏡下で定性的に比較した。その結果、1mg/mlの濃度のAOを経腹膜的に投与した後2-3時間目に観察すると両者がもっとも強いコントラストで区別できることが判明した。 また、化学療法を受けていない平滑筋肉腫、MFH、脂肪肉腫などの新鮮切除組織を半割し1μg/mlのAOで直接標識後PBSで洗浄して腫瘍と周囲の正常筋肉、脂肪組織との蛍光の強さを同様に観察した。その結果でも両者は明瞭に区別できることが分かった。 さらにマウスの肺転移巣についても同様の検討を行った直径1mm以下のきわめて小さな病巣も肉眼的に区別できることが分かった。 以上の結果からAOを用いた悪性骨軟部腫瘍の術中肉眼的可視化による切除縁の決定は可能であることが判明した。今後はロ-ダミン123やアドリアマイシンなどのほかの蛍光色素を用いて同様の検索を行う。
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