1997 Fiscal Year Annual Research Report
異種初期胚・子宮内膜脱落膜細胞共培養系を用いた胚受容機構の研究
Project/Area Number |
08877253
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
高倉 賢二 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10221350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 洋一 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50115911)
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Keywords | 子宮内膜間質細胞 / 脱落膜化 / 胚 / 着床 |
Research Abstract |
I.子宮内膜間質細胞(ESC)in vitro脱落膜化系の確立 未熟マウスよりESCを回収・培養し、培養液中にestradio(E、0.1nM)、progesterone〔P、100nM)を加え脱落膜化を誘起した。E/Pの添加によりESCは、紡錘形から円形の大型細胞へと変化すると同時に、脱落膜蛋白の一つであるデスミンの産生能を有するにり、超微形態学的にも細胞質内には粗面小胞体の発達を認めるなど、脱落膜細胞に特徴的な所見を有し、マウスにおけるin vitro脱落膜化モデルの作成に成功したと考えられた。 II.in vitro着床モデルの確立 in vitroマウス脱落膜化モデルを用いて着床過程における胚とESCとの相互作用を検討した。培養9日目にこのESC上にマウス胞胚を静置し共培養を行、さらにE/P添加または非添加の条件下で胞胚の単独培養も行い、経時的に培養胚の発育およびESCとの相互作用を比較検討した。性ステロイドの添加の有無にかかわらず単独培養胚は培養12日目には剥離、脱落するのに対し、共培養胚は増殖を続け、ESCは絨毛細胞のoutgrowthおよび胚の生存の維持を促進することが示された。また共培養においてE/P添加群は無添加群(対照群)に比して胚の面積が有意に増大し、E/P添加による脱落膜化誘起は胚のoutgrowthも促進することが示唆された。超微形態学的に対照群では絨毛細胞がESCの間に浸潤している像を認めるのに対し、E/P添加群ではin vivoと同様に両細胞の境界が明瞭であり、絨毛細胞のESCへの浸潤像は認めなかった。脱落膜は胚の増殖を促進する一方、絨毛細胞の浸潤を制御することが示された。さらに対照群のESCにおいても共培養によりE/P添加群で認められた脱落膜変化が観察され、胚から脱落膜化促進因子が放出されている可能性も示された。
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[Publications] 和久田晃司: "マウス卵管内胚の存在が子宮内膜増殖能に及ぼす影響" 産婦人科の進歩. 48・3. 254-257 (1996)
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[Publications] 後藤栄: "in vitro発生停止胚におけるミトコンドリアの挙動・構造とAPT量." 産婦人科の進歩. 49・3. 180-192 (1997)
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[Publications] 石川弘伸: "マウス子宮内膜間質細胞を用いたin vitro脱落膜化モデルの作成." 産婦人科の進歩. 49・3. 193-204 (1997)
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[Publications] 林嘉彦: "マウスにおける子宮内膜内微小環境修飾による着床率の改善." 産婦人科の進歩. 49・5. 516-527 (1997)
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[Publications] 廣瀬雅哉: "マウス胚発生能に及ぼす体細胞との共培養の効果と胚発育促進因子同定の試み." 産婦人科の進歩. 49・5. 528-542 (1997)
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[Publications] 石 紅: "In vitroマウス着床モデルによる脱落膜細胞・胚相互作用の解析." 産婦人科の進歩. 50・2. 180-194 (1998)