1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08877274
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
井出 吉信 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20103377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田松 裕一 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80266569)
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Keywords | フラクタル / 形態計測 / 冠状縫合 / 矢状縫合 / ラムダ縫合 |
Research Abstract |
緒言:これまでの形態学は、リアス式海岸のような形の骨の縫合や、曲線が樹木上に広がる血管・神経の分布なとの特徴を表すには、言葉で描写するか、正確に描画するのみであった。ところが、最近では理工学系を中心に自然界の事象や形態をフラクタル次元を用いて表現する研究が行われている。そこで、この方法を形態学の研究に応用し、フラクタル次元を用いて生体を構成する器官・組織の形態の複雑さを定量化した。 方法:試料にインド人乾燥頭蓋骨を用いて。前頭縫合、矢状縫合、ラムダ縫合の複雑さを定量化した。最適な解析方法を検討した上で、ディバイダを利用して矢状縫合の形態をトレースし、「折れ線の被覆によるフラクタル次元」を求めた。すなわち、いろいろな長さdに対する個数(d)を推測して、N(d)を測定して、N(d)とd^<-k>の間に比例関係があるとき、ある定数kをフラクタル次元と定義した。実際には、線分の長さdを3mm〜11mmまで2mm毎に変化させ、そのときの個数N(d)を測定した後、それぞれの自然対数をとり、logN(d)とlogdの回帰直線の傾きを求めてフラクタル次元とした。 結果および考察:計測結果の回帰直線から各縫合の形態はフラクタルと言えることが分かった。冠状縫合のフラクタル次元は1.30(SD-0.100)、矢状縫合のフラクタル次元は1.48(SD-0.123)、ラムダ縫合のフラクタル次元は1.54(SD=0.077)であった。これより、縫合の複雑さ歯、冠状縫合<矢状縫合<ラムダ縫合の関係にあることが分かった。肉眼で観察した際の所見を数値によって裏付けることができた。このように、フラクタル理論を応用することにより、これまで定量化が困難であった生体の構成機関・組織の形態の複雑さの測定が可能であることが分かった。
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