1996 Fiscal Year Annual Research Report
メルケル細胞と口腔粘膜免疫機構の関連についての実験的検証
Project/Area Number |
08877283
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
立花 民子 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (10089386)
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Keywords | メルケル細胞 / 異形化 / 病理標本 / 神経支配 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1,ヒト口蓋の病変部周囲の粘膜と炎症歯肉の病理標本について、メルケル細胞を抗-サイトケラチン20(CK20)で、神経線維を抗-PGP9.5で免疫蛍光二重染色し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。これらの組織には正常な粘膜に比べて多角体形を示す異形のメルケル細胞が多く出現するが、その多くは神経支配を欠いていた。しかし、楕円形を呈する典型的なメルケル細胞でも神経支配を欠くものがあり、異形化と神経支配の欠如との関連性は希薄であると思われた。2,異形化したメルケル細胞と腫瘍化の関係を検討するために、メルケル細胞腫において陽性反応が報告されているニューロフィラメント、ビメンチン、アクチンの発現を免疫組織化学的に調べた結果、異形化した細胞にはこれらの細胞骨格蛋白の発現は無いことが判明した。3,病理標本における異形化メルケル細胞が正常なメルケル細胞から変化したのか、あるいは本来正常粘膜にも僅かながら存在している異形性メンケル細胞の増殖によって生じるのかを調べるため、好銀性核小体オ-ガイナイザー検出反応(AgNOR)と抗-CK20によるメルケル細胞染色を同一切片に対して試みた。その結果、異形化したメルケル細胞には典型的メルケル細胞と同様に細胞分裂活性が無いことが示唆されたので、異形性メルケル細胞は典型的形態のメルケル細胞から変化したと考えられる。4,次年度におこなう動物実験のための予備データを得る目的で、正常なスナネズミの歯肉および口蓋粘膜のメルケル細胞の形態を免疫組織化学的に観察した。スナネズミのメルケル細胞は他の齧歯類とは異なり、抗-CK18ではなく、ヒトと同様に抗-CK20に強い親和性を示した。しかもこれらの細胞の約半数が多角体形を呈し、中には神経突起のような長い突起を有するものも見られた。次年度はこの事実を基に、若干予定の実験計画を変更して研究を進める必要があると考えている。
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