1996 Fiscal Year Annual Research Report
ラット頭頂骨骨欠損での骨芽細胞成熟過程におけるTGF-βレセプター発現の役割
Project/Area Number |
08877287
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥田 一博 新潟大学, 歯学部, 講師 (00169228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 卓 新潟大学, 歯学部, 助手 (00251827)
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Keywords | TGF-βII型レセプター / TGF-βレセプター / 成熟軟骨細胞 / 肥大軟骨細胞 / 前骨芽細胞 / in situ hybridization法 / 免疫組織化学 / 成長期ラット脛骨 |
Research Abstract |
ラット頭頂骨実験的骨欠損におけるTGF-βレセプター発現の役割を検討する前段階として正常硬組織中におけるTGF-βの標的細胞を同定する為に、ラット脛骨骨端板軟骨におけるTGF-βII型レセプターの局在及びmRNAの発現を免疫組織化学的、分子生物学的に検討した。実験動物には成長期に相当する3週齢のWistar系雄性ラット26匹を用いた。このうち6匹は脛骨を摘出しパラフィン包埋後、5μmの矢状断薄切標本を作製し、免疫組織化学染色法とin situ hybridization法にて検索した。20匹は実体顕微鏡下にて脛骨近位骨端板軟骨のみを採取し、AGPC法に基づきtotal RNAを抽出後、RT-PCR(Reverse Transcriptase-Polymerase Chain Reaction)法にてTGF-βII型レセプターのmRNAの発現を索した。TGF-βII型レセプターは免疫組織化学染色の結果では、骨端板軟骨においては増殖軟骨細胞では局在が認められず、成熟軟骨細胞層から肥大軟骨層にかけて細胞膜表面に一致してその局在が認められた。一方in situ hybridization法でも成熟軟骨細胞層を中心に僅かにmRNAの発現が認められた。RT-PCR法によっても骨端板軟骨でのTGF-βII型レセプターのmRNAの発現を確認できた。さらに免疫組織化学染色では、内骨膜面骨芽細胞近傍の扁平な間葉系細胞にも局在を認めたが、骨芽細胞自身には局在が認められなかった。in situ hybridization法では骨芽細胞およびその近傍の細胞に明かなmRNAの発現は認められなかった。TGF-βII型レセプターはシグナル伝達に関与する重要なレセプターであるが、この研究の結果よりTGF-βの主たる標的細胞は、軟骨細胞では分化し基質産生を行っている成熟軟骨細胞であり、骨芽細胞系細胞では分化した骨芽細胞ではなくむしろ前骨芽細胞であることが明らかとなった。よって、軟骨細胞や骨芽細胞は自身から産生されるTGF-βによって、オートクライン、パラクラインにその分化・増殖が制御されていることを示唆する結果が得られた。
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